第24章 OpenShift SDN ネットワークプラグイン
24.1. OpenShift SDN ネットワークプラグインについて
Red Hat OpenShift Networking の一部である OpenShift SDN は、ソフトウェア定義ネットワーキング (SDN) アプローチを使用して、OpenShift Container Platform クラスター全体の Pod 間の通信を可能にする統合クラスターネットワークを提供するネットワークプラグインです。OpenShift SDN により、このような Pod ネットワークが確立され、メンテナンスされます。 OpenShift SDN は Open vSwitch (OVS) を使用してオーバーレイネットワークを設定します。
24.1.1. OpenShift SDN ネットワーク分離モード
OpenShift SDN では以下のように、Pod ネットワークを設定するための SDN モードを 3 つ提供します。
-
ネットワークポリシー モードは、プロジェクト管理者が
NetworkPolicy
オブジェクトを使用して独自の分離ポリシーを設定することを可能にします。ネットワークポリシーは、OpenShift Container Platform 4.12 のデフォルトモードです。 - マルチテナント モードは、Pod およびサービスのプロジェクトレベルの分離を可能にします。異なるプロジェクトの Pod は、別のプロジェクトの Pod およびサービスとパケットの送受信をすることができなくなります。プロジェクトの分離を無効にし、クラスター全体のすべての Pod およびサービスにネットワークトラフィックを送信したり、それらの Pod およびサービスからネットワークトラフィックを受信したりすることができます。
- サブネット モードは、すべての Pod が他のすべての Pod およびサービスと通信できる Pod ネットワークを提供します。ネットワークポリシーモードは、サブネットモードと同じ機能を提供します。
24.1.2. サポートされているネットワークプラグイン機能のマトリックス
Red Hat OpenShift Networking は、ネットワークプラグイン用に OpenShift SDN と OVN-Kubernetes の 2 つのオプションを提供します。以下の表は、両方のネットワークプラグインの現在の機能サポートをまとめたものです。
機能 | OpenShift SDN | OVN-Kubernetes |
---|---|---|
Egress IP | サポート対象 | サポート対象 |
Egress ファイアウォール | サポート対象 | サポート対象 [4] |
Egress ルーター | サポート対象 | サポート対象 [2] |
ハイブリッドネットワーク | サポート対象外 | サポート対象 |
クラスター内通信の IPsec 暗号化 | サポート対象外 | サポート対象 |
IPv4 シングルスタック | サポート対象 | サポート対象 |
IPv6 シングルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [3] |
IPv4/IPv6 デュアルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [4] |
IPv6/IPv4 デュアルスタック | サポート対象外 | サポート対象 [4] |
Kubernetes ネットワークポリシー | サポート対象 | サポート対象 |
Kubernetes ネットワークポリシーログ | サポート対象外 | サポート対象 |
ハードウェアのオフロード | サポート対象外 | サポート対象 |
マルチキャスト | サポート対象 | サポート対象 |
- Egress ファイアウォールは、OpenShift SDN では Egress ネットワークポリシーとしても知られています。これはネットワークポリシーの Egress とは異なります。
- OVN-Kubernetes の Egress ルーターはリダイレクトモードのみをサポートします。
- ベアメタルプラットフォーム上の IPv6 シングルスタックネットワーキング。
- ベアメタル、IBM Power®、および IBM Z® プラットフォーム上の IPv4/IPv6 デュアルスタックネットワーク。
- ベアメタルおよび IBM Power® プラットフォームでの IPv6/IPv4 デュアルスタックネットワーク。