第21章 複数ネットワーク
21.1. 複数ネットワークについて
Kubernetes では、コンテナーネットワークは Container Network Interface (CNI) を実装するネットワークプラグインに委任されます。
OpenShift Container Platform は、Multus CNI プラグインを使用して CNI プラグインのチェーンを許可します。クラスターのインストール時に、デフォルト の Pod ネットワークを設定します。デフォルトのネットワークは、クラスターのすべての通常のネットワークトラフィックを処理します。利用可能な CNI プラグインに基づいて additional network を定義し、1 つまたは複数のネットワークを Pod に割り当てることができます。必要に応じて、クラスターの複数のネットワークを追加で定義することができます。これにより、スイッチングやルーティングなどのネットワーク機能を提供する Pod を設定する際に柔軟性が得られます。
21.1.1. 追加ネットワークの使用シナリオ
データプレーンとコントロールプレーンの分離など、ネットワークの分離が必要な状況で追加のネットワークを使用できます。トラフィックの分離は、以下のようなパフォーマンスおよびセキュリティー関連の理由で必要になります。
- パフォーマンス
- 各プレーンのトラフィック量を管理するために、2 つの異なるプレーンにトラフィックを送信できます。
- セキュリティー
- 機密トラフィックは、セキュリティー上の考慮に基づいて管理されているネットワークに送信でき、テナントまたはカスタマー間で共有できないプライベートを分離することができます。
クラスターのすべての Pod はクラスター全体のデフォルトネットワークを依然として使用し、クラスター全体での接続性を維持します。すべての Pod には、クラスター全体の Pod ネットワークに割り当てられる eth0
インターフェイスがあります。Pod のインターフェイスは、oc exec -it <pod_name> -- ip a
コマンドを使用して表示できます。Multus CNI を使用するネットワークを追加する場合、それらの名前は net1
、net2
、…、netN
になります。
追加のネットワークを Pod に割り当てるには、インターフェイスの割り当て方法を定義する設定を作成する必要があります。それぞれのインターフェイスは、NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) を使用して指定します。これらの CR のそれぞれにある CNI 設定は、インターフェイスの作成方法を定義します。
21.1.2. OpenShift Container Platform の追加ネットワーク
OpenShift Container Platform は、クラスターに追加のネットワークを作成するために使用する以下の CNI プラグインを提供します。
- bridge: ブリッジベースの追加ネットワークを設定する ことで、同じホストにある Pod が相互に、かつホストと通信できます。
- host-device: ホストデバイスの追加ネットワークを設定する ことで、Pod がホストシステム上の物理イーサネットネットワークデバイスにアクセスすることができます。
- ipvlan: ipvlan ベースの追加ネットワークを設定する ことで、macvlan ベースの追加ネットワークと同様に、ホスト上の Pod が他のホストやそれらのホストの Pod と通信できます。macvlan ベースの追加のネットワークとは異なり、各 Pod は親の物理ネットワークインターフェイスと同じ MAC アドレスを共有します。
- macvlan: macvlan ベースの追加ネットワークを作成 することで、ホスト上の Pod が物理ネットワークインターフェイスを使用して他のホストやそれらのホストの Pod と通信できます。macvlan ベースの追加ネットワークに割り当てられる各 Pod には固有の MAC アドレスが割り当てられます。
- SR-IOV: SR-IOV ベースの追加ネットワークを設定する ことで、Pod を ホストシステム上の SR-IOV 対応ハードウェアの Virtual Function (VF) インターフェイスに割り当てることができます。