11.4. 移行フック
単一の移行計画に最大 4 つの移行フックを追加し、各フックを移行の異なるフェーズで実行できます。移行フックは、アプリケーションの休止状態のカスタマイズ、サポート外のデータタイプの手動の移行、および移行後のアプリケーションの更新などのタスクを実行します。
移行フックは、以下の移行手順のいずれかでソースまたはターゲットクラスターで実行されます。
-
PreBackup
: リソースがソースクラスターでバックアップされる前 -
PostBackup
: リソースがソースクラスターでバックアップされた後 -
PreRestore
: リソースがターゲットクラスターで復元される前 -
PostRestore
: リソースがターゲットクラスターで復元された後
フックを作成するには、デフォルトの Ansible イメージまたはカスタムフックコンテナーで実行される Ansible Playbook を作成します。
Ansible Playbook
Ansible Playbook はフックコンテナーに config map としてマウントされます。フックコンテナーは、MigPlan
カスタムリソースに指定されるクラスター、サービスアカウント、および namespace を使用してジョブとして実行されます。ジョブは、デフォルトの再試行数 6 に達するか、正常に完了するまで実行を継続します。これは、最初の Pod がエビクトされるか、強制終了される場合でも継続されます。
デフォルトの Ansible ランタイムイメージは registry.redhat.io/rhmtc/openshift-migration-hook-runner-rhel7:1.8
です。このイメージは Ansible Runner イメージをベースとしており、Ansible Kubernetes リソースの python-openshift
および更新された oc
バイナリーが含まれます。
カスタムフックコンテナー
デフォルトの Ansible イメージの代わりにカスタムフックコンテナーを使用できます。
11.4.1. 移行フックの Ansible Playbook の作成
Ansible Playbook を作成して移行フックとして使用することができます。フックは、MTC Web コンソールを使用するか、MigPlan
カスタムリソース (CR) マニフェストに spec.hooks
パラメーターの値を指定して移行計画に追加できます。
Ansible Playbook はフックコンテナーに config map としてマウントされます。フックコンテナーは、MigPlan
で指定されるクラスター、サービスアカウントおよび namespace を使用してジョブとして実行されます。フックコンテナーは指定されたサービスアカウントトークンを使用して、タスクがクラスターで実行される前に認証を必要としないようにします。
11.4.1.1. Ansible モジュール
Ansible shell
モジュールを使用して oc
コマンドを実行できます。
shell
モジュールの例
- hosts: localhost gather_facts: false tasks: - name: get pod name shell: oc get po --all-namespaces
k8s_info
などの kubernetes.core
モジュールを使用して Kubernetes リソースと対話できます。
k8s_facts
モジュールの例
- hosts: localhost gather_facts: false tasks: - name: Get pod k8s_info: kind: pods api: v1 namespace: openshift-migration name: "{{ lookup( 'env', 'HOSTNAME') }}" register: pods - name: Print pod name debug: msg: "{{ pods.resources[0].metadata.name }}"
fail
モジュールを使用して、ゼロ以外の終了ステータスが正常に生成されない場合にゼロ以外の終了ステータスを生成し、フックの成功または失敗が検出されるようにします。フックはジョブとして実行され、フックの成功または失敗のステータスはジョブコンテナーの終了ステータスに基づいて表示されます。
fail
モジュールの例
- hosts: localhost gather_facts: false tasks: - name: Set a boolean set_fact: do_fail: true - name: "fail" fail: msg: "Cause a failure" when: do_fail
11.4.1.2. 環境変数
MigPlan
CR 名および移行 namespace は環境変数としてフックコンテナーに渡されます。これらの変数は lookup
プラグインを使用してアクセスされます。
環境変数の例
- hosts: localhost gather_facts: false tasks: - set_fact: namespaces: "{{ (lookup( 'env', 'MIGRATION_NAMESPACES')).split(',') }}" - debug: msg: "{{ item }}" with_items: "{{ namespaces }}" - debug: msg: "{{ lookup( 'env', 'MIGRATION_PLAN_NAME') }}"