2.3. Azure Stack Hub でコンピュートマシンセットを作成
Microsoft Azure Stack Hub 上の OpenShift Container Platform クラスターで特定の目的を果たすように異なるコンピュートマシンセットを作成することができます。たとえば、インフラストラクチャーマシンセットおよび関連マシンを作成して、サポートするワークロードを新しいマシンに移動できます。
高度なマシン管理およびスケーリング機能は、Machine API が動作しているクラスターでのみ使用できます。user-provisioned infrastructure を持つクラスターでは、Machine API を使用するために追加の検証と設定が必要です。
インフラストラクチャープラットフォームタイプが none
のクラスターでは、Machine API を使用できません。この制限は、クラスターに接続されている計算マシンが、この機能をサポートするプラットフォームにインストールされている場合でも適用されます。このパラメーターは、インストール後に変更することはできません。
クラスターのプラットフォームタイプを表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get infrastructure cluster -o jsonpath='{.status.platform}'
2.3.1. Azure Stack Hub 上のコンピュートマシンセットカスタムリソースのサンプル YAML
このサンプル YAML は、リージョンの 1
Microsoft Azure ゾーンで実行され、node-role.kubernetes.io/<role>: ""
というラベルの付けられたノードを作成するコンピュートマシンセットを定義します。
このサンプルでは、<infrastructure_id>
はクラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID に基づくインフラストラクチャー ID であり、<role>
は追加するノードラベルです。
apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 1 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 2 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 3 name: <infrastructure_id>-<role>-<region> 4 namespace: openshift-machine-api spec: replicas: 1 selector: matchLabels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 5 machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_id>-<role>-<region> 6 template: metadata: creationTimestamp: null labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 7 machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> 8 machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> 9 machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_id>-<role>-<region> 10 spec: metadata: creationTimestamp: null labels: node-role.kubernetes.io/<role>: "" 11 providerSpec: value: apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 availabilitySet: <availability_set> 12 credentialsSecret: name: azure-cloud-credentials namespace: openshift-machine-api image: offer: "" publisher: "" resourceID: /resourceGroups/<infrastructure_id>-rg/providers/Microsoft.Compute/images/<infrastructure_id> 13 sku: "" version: "" internalLoadBalancer: "" kind: AzureMachineProviderSpec location: <region> 14 managedIdentity: <infrastructure_id>-identity 15 metadata: creationTimestamp: null natRule: null networkResourceGroup: "" osDisk: diskSizeGB: 128 managedDisk: storageAccountType: Premium_LRS osType: Linux publicIP: false publicLoadBalancer: "" resourceGroup: <infrastructure_id>-rg 16 sshPrivateKey: "" sshPublicKey: "" subnet: <infrastructure_id>-<role>-subnet 17 18 userDataSecret: name: worker-user-data 19 vmSize: Standard_DS4_v2 vnet: <infrastructure_id>-vnet 20 zone: "1" 21
- 1 5 7 13 15 16 17 20
- クラスターのプロビジョニング時に設定したクラスター ID を基にするインフラストラクチャー ID を指定します。OpenShift CLI がインストールされている場合は、以下のコマンドを実行してインフラストラクチャー ID を取得できます。
$ oc get -o jsonpath='{.status.infrastructureName}{"\n"}' infrastructure cluster
以下のコマンドを実行してサブネットを取得できます。
$ oc -n openshift-machine-api \ -o jsonpath='{.spec.template.spec.providerSpec.value.subnet}{"\n"}' \ get machineset/<infrastructure_id>-worker-centralus1
以下のコマンドを実行して vnet を取得できます。
$ oc -n openshift-machine-api \ -o jsonpath='{.spec.template.spec.providerSpec.value.vnet}{"\n"}' \ get machineset/<infrastructure_id>-worker-centralus1
- 2 3 8 9 11 18 19
- 追加するノードラベルを指定します。
- 4 6 10
- インフラストラクチャー ID、ノードラベル、およびリージョンを指定します。
- 14
- マシンを配置するリージョンを指定します。
- 21
- マシンを配置するリージョン内のゾーンを指定します。リージョンがゾーンをサポートすることを確認してください。
- 12
- クラスターの可用性セットを指定します。
2.3.2. コンピュートマシンセットの作成
インストールプログラムによって作成されるコンピュートセットセットに加えて、独自のマシンセットを作成して、選択した特定のワークロードのマシンコンピューティングリソースを動的に管理できます。
前提条件
- OpenShift Container Platform クラスターをデプロイしている。
-
OpenShift CLI (
oc
) がインストールされている。 -
cluster-admin
パーミッションを持つユーザーとして、oc
にログインする。 - Azure Stack Hub コンピュートマシンをデプロイする可用性セットを作成します。
手順
コンピュートマシンセットのカスタムリソース (CR) サンプルを含む新しい YAML ファイルを作成し、
<file_name>.yaml
という名前を付けます。<availabilitySet>
、<clusterID>
、および<role>
パラメーター値を必ず設定してください。オプション: 特定のフィールドに設定する値がわからない場合は、クラスターから既存のコンピュートマシンセットを確認できます。
クラスター内のコンピュートマシンセットをリスト表示するには、次のコマンドを実行します。
$ oc get machinesets -n openshift-machine-api
出力例
NAME DESIRED CURRENT READY AVAILABLE AGE agl030519-vplxk-worker-us-east-1a 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1b 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1c 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1d 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1e 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1f 0 0 55m
特定のコンピュートマシンセットカスタムリソース (CR) 値を表示するには、以下のコマンドを実行します。
$ oc get machineset <machineset_name> \ -n openshift-machine-api -o yaml
出力例
apiVersion: machine.openshift.io/v1beta1 kind: MachineSet metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> 1 name: <infrastructure_id>-<role> 2 namespace: openshift-machine-api spec: replicas: 1 selector: matchLabels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_id>-<role> template: metadata: labels: machine.openshift.io/cluster-api-cluster: <infrastructure_id> machine.openshift.io/cluster-api-machine-role: <role> machine.openshift.io/cluster-api-machine-type: <role> machine.openshift.io/cluster-api-machineset: <infrastructure_id>-<role> spec: providerSpec: 3 ...
次のコマンドを実行して
MachineSet
CR を作成します。$ oc create -f <file_name>.yaml
検証
次のコマンドを実行して、コンピュートマシンセットのリストを表示します。
$ oc get machineset -n openshift-machine-api
出力例
NAME DESIRED CURRENT READY AVAILABLE AGE agl030519-vplxk-infra-us-east-1a 1 1 1 1 11m agl030519-vplxk-worker-us-east-1a 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1b 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1c 1 1 1 1 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1d 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1e 0 0 55m agl030519-vplxk-worker-us-east-1f 0 0 55m
新しいコンピュートマシンセットが利用可能になると、
DESIRED
とCURRENT
の値が一致します。コンピュートマシンセットが使用できない場合は、数分待ってからコマンドを再実行してください。
2.3.3. Azure ブート診断の有効化
マシンセットが作成する Azure マシンで起動診断を有効にできます。
前提条件
- 既存の Microsoft Azure Stack Hub クラスターがある。
手順
ストレージタイプに適用可能な
diagnostics
設定を、マシンセット YAML ファイルのproviderSpec
フィールドに追加します。Azure Managed ストレージアカウントの場合:
providerSpec: diagnostics: boot: storageAccountType: AzureManaged 1
- 1
- Azure Managed ストレージアカウントを指定します。
Azure Unmanaged ストレージアカウントの場合:
providerSpec: diagnostics: boot: storageAccountType: CustomerManaged 1 customerManaged: storageAccountURI: https://<storage-account>.blob.core.windows.net 2
注記Azure Blob Storage データサービスのみサポートされています。
検証
- Microsoft Azure ポータルで、マシンセットによってデプロイされたマシンの 起動診断 ページを確認し、マシンのシリアルログが表示されることを確認します。
2.3.4. マシンセットの顧客管理の暗号鍵の有効化
Azure に暗号化キーを指定して、停止中に管理ディスクのデータを暗号化できます。Machine API を使用すると、顧客管理の鍵によるサーバー側暗号化を有効にすることができます。
お客様が管理する鍵を使用するために、Azure Key Vault、ディスク暗号化セット、および暗号化キーが必要です。ディスク暗号化セットは、Cloud Credential Operator (CCO) がアクセス許可を付与したリソースグループに存在する必要があります。これがない場合は、ディスク暗号化セットで追加のリーダーロールを指定する必要があります。
前提条件
手順
マシンセット YAML ファイルの
providerSpec
フィールドでディスクの暗号化キーを設定します。以下に例を示します。providerSpec: value: osDisk: diskSizeGB: 128 managedDisk: diskEncryptionSet: id: /subscriptions/<subscription_id>/resourceGroups/<resource_group_name>/providers/Microsoft.Compute/diskEncryptionSets/<disk_encryption_set_name> storageAccountType: Premium_LRS