第16章 リアルタイムおよび低レイテンシーワークロードのプロビジョニング


多くの組織、特に金融業界や通信業界では、ハイパフォーマンスコンピューティングと予測可能な低レイテンシーが求められます。

OpenShift Container Platform は、OpenShift Container Platform アプリケーションの低レイテンシーパフォーマンスと一貫した応答時間を実現するための自動チューニングを実装する Node Tuning Operator を提供します。このような変更を行うには、パフォーマンスプロファイル設定を使用します。kernel-rt へのカーネルの更新、Pod インフラコンテナーを含むクラスターおよびオペレーティングシステムのハウスキーピング作業用 CPU の予約、アプリケーションコンテナーがワークロードを実行するための CPU の分離、未使用の CPU の無効化による電力消費削減を行うことができます。

注記

アプリケーションを作成するときは、RHEL for Real Time プロセスおよびスレッド に記載されている一般的な推奨事項に従ってください。

16.1. リアルタイム機能を備えたワーカーに低レイテンシーのワークロードをスケジュールする

リアルタイム機能を設定するパフォーマンスプロファイルを適用したワーカーノードに、低レイテンシーのワークロードをスケジュールできます。

注記

特定のノードでワークロードをスケジュールするには、Pod カスタムリソース (CR) でラベルセレクターを使用します。ラベルセレクターは、Node Tuning Operator によって低レイテンシー用に設定されたマシン設定プールに割り当てられているノードと一致している必要があります。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • cluster-admin 権限を持つユーザーとしてログインしている。
  • 低レイテンシーのワークロード向けにワーカーノードをチューニングするパフォーマンスプロファイルをクラスターに適用した。

手順

  1. 低レイテンシーのワークロード用の Pod CR を作成し、クラスターに適用します。次に例を示します。

    リアルタイム処理を使用するように設定した Pod 仕様の例

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: dynamic-low-latency-pod
      annotations:
        cpu-quota.crio.io: "disable" 1
        cpu-load-balancing.crio.io: "disable" 2
        irq-load-balancing.crio.io: "disable" 3
    spec:
      securityContext:
        runAsNonRoot: true
        seccompProfile:
          type: RuntimeDefault
      containers:
      - name: dynamic-low-latency-pod
        image: "registry.redhat.io/openshift4/cnf-tests-rhel8:v4.16"
        command: ["sleep", "10h"]
        resources:
          requests:
            cpu: 2
            memory: "200M"
          limits:
            cpu: 2
            memory: "200M"
        securityContext:
          allowPrivilegeEscalation: false
          capabilities:
            drop: [ALL]
      nodeSelector:
        node-role.kubernetes.io/worker-cnf: "" 4
      runtimeClassName: performance-dynamic-low-latency-profile 5
    # ...

    1
    Pod の実行時に CPU Completely Fair Scheduler (CFS) のクォータを無効にします。
    2
    CPU 負荷分散を無効にします。
    3
    ノード上の Pod を割り込み処理から除外します。
    4
    nodeSelector ラベルは、Node CR で指定したラベルと一致している必要があります。
    5
    runtimeClassName は、クラスターで設定したパフォーマンスプロファイルの名前と一致している必要があります。
  2. Pod の runtimeClassName を performance-<profile_name> の形式で入力します。<profile_name> は PerformanceProfile YAML の name です。上記の例では、nameperformance-dynamic-low-latency-profile です。
  3. Pod が正常に実行されていることを確認します。ステータスが running であり、正しい cnf-worker ノードが設定されている必要があります。

    $ oc get pod -o wide

    予想される出力

    NAME                     READY   STATUS    RESTARTS   AGE     IP           NODE
    dynamic-low-latency-pod  1/1     Running   0          5h33m   10.131.0.10  cnf-worker.example.com

  4. IRQ の動的負荷分散向けに設定された Pod が実行される CPU を取得します。

    $ oc exec -it dynamic-low-latency-pod -- /bin/bash -c "grep Cpus_allowed_list /proc/self/status | awk '{print $2}'"

    予想される出力

    Cpus_allowed_list:  2-3

検証

ノードの設定が正しく適用されていることを確認します。

  1. ノードにログインして設定を確認します。

    $ oc debug node/<node-name>
  2. ノードのファイルシステムを使用できることを確認します。

    sh-4.4# chroot /host

    予想される出力

    sh-4.4#

  3. デフォルトのシステム CPU アフィニティーマスクに、CPU 2 や 3 などの dynamic-low-latency-pod CPU が含まれていないことを確認します。

    sh-4.4# cat /proc/irq/default_smp_affinity

    出力例

    33

  4. システムの IRQ が dynamic-low-latency-pod CPU で実行されるように設定されていないことを確認します。

    sh-4.4# find /proc/irq/ -name smp_affinity_list -exec sh -c 'i="$1"; mask=$(cat $i); file=$(echo $i); echo $file: $mask' _ {} \;

    出力例

    /proc/irq/0/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/1/smp_affinity_list: 5
    /proc/irq/2/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/3/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/4/smp_affinity_list: 0
    /proc/irq/5/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/6/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/7/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/8/smp_affinity_list: 4
    /proc/irq/9/smp_affinity_list: 4
    /proc/irq/10/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/11/smp_affinity_list: 0
    /proc/irq/12/smp_affinity_list: 1
    /proc/irq/13/smp_affinity_list: 0-5
    /proc/irq/14/smp_affinity_list: 1
    /proc/irq/15/smp_affinity_list: 0
    /proc/irq/24/smp_affinity_list: 1
    /proc/irq/25/smp_affinity_list: 1
    /proc/irq/26/smp_affinity_list: 1
    /proc/irq/27/smp_affinity_list: 5
    /proc/irq/28/smp_affinity_list: 1
    /proc/irq/29/smp_affinity_list: 0
    /proc/irq/30/smp_affinity_list: 0-5

警告

低レイテンシー用にノードをチューニングするときに、保証された CPU を必要とするアプリケーションと組み合わせて実行プローブを使用すると、レイテンシーが急上昇する可能性があります。代わりに、適切に設定されたネットワークプローブのセットなど、他のプローブを使用してください。

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