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3.2. BareMetalHost リソースについて

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Metal3 で、物理ホストとそのプロパティーを定義する BareMetalHost リソースの概念が導入されました。BareMetalHost リソースには、2 つのセクションが含まれます。

  1. BareMetalHost spec
  2. BareMetalHost status

3.2.1. BareMetalHost spec

BareMetalHost リソースの spec セクションは、ホストの必要な状態を定義します。

表3.1 BareMetalHost spec
パラメーター説明

automatedCleaningMode

プロビジョニングおよびプロビジョニング解除時の自動クリーニングを有効または無効にするインターフェイス。disabled に設定すると、自動クリーニングはスキップされます。metadata に設定すると、自動消去が有効になります。デフォルト設定は metadata です。

bmc:
  address:
  credentialsName:
  disableCertificateVerification:

bmc 設定には、ホスト上のベースボード管理コントローラー (BMC) の接続情報が含まれます。フィールドの詳細は以下のとおりです。

  • address: ホストの BMC コントローラーとの通信用の URL。
  • credentialsName: BMC のユーザー名およびパスワードが含まれるシークレットへの参照。
  • disableCertificateVerification: true に設定されている場合に証明書の検証を省略するブール値。

bootMACAddress

ホストのプロビジョニングに使用する NIC の MAC アドレス。

bootMode

ホストのブートモード。デフォルトは UEFI ですが、BIOS ブートの legacy または UEFISecureBoot に設定することもできます。

consumerRef

ホストを使用している別のリソースへの参照。別のリソースが現在ホストを使用していない場合は、空になることがあります。たとえば、machine-api がホストを使用している場合に、Machine リソースがホストを使用する場合があります。

description

ホストの特定に役立つ、人間が提供した文字列。

externallyProvisioned

ホストのプロビジョニングとプロビジョニング解除が外部で管理されるかどうかを示すブール値。設定される場合:

  • 電源ステータスは、オンラインフィールドを使用して引き続き管理できます。
  • ハードウェアインベントリーは監視されますが、プロビジョニング操作やプロビジョニング解除操作はホストで実行されません。

firmware

ベアメタルホストの BIOS 設定に関する情報が含まれます。現在、firmware は、iRMC、iDRAC、iLO4、および iLO5 BMC でのみサポートされます。サブフィールドは以下のとおりです。

  • simultaneousMultithreadingEnabled: 単一の物理プロセッサーコアが複数の論理プロセッサーとして表示されるのを許可します。有効な設定は true または false です。
  • sriovEnabled: SR-IOV のサポートにより、ハイパーバイザーが PCI-express デバイスの仮想インスタンスを作成できるようになり、パフォーマンスが向上する可能性があります。有効な設定は true または false です。
  • virtualizationEnabled: プラットフォームハードウェアの仮想化をサポートします。有効な設定は true または false です。
image:
  url:
  checksum:
  checksumType:
  format:

image 設定には、ホストにデプロイされるイメージの詳細が保持されます。Ironic にはイメージフィールドが必要です。ただし、externallyProvisioned 設定が true に設定されていて、外部管理に電源制御が不要な場合、フィールドは空のままでもかまいません。この設定では次のフィールドがサポートされています。

  • URL: ホストにデプロイするイメージの URL。
  • checksum: 実際のチェックサム、またはimage.url のイメージのチェックサムが含まれるファイルへの URL。
  • checksumType: チェックサムアルゴリズムを指定できます。現時点で image.checksumTypemd5sha256、および sha512 のみをサポートしています。デフォルトのチェックサムタイプは md5 です。
  • format: これはイメージのディスク形式です。rawqcow2vdivmdklive-iso のいずれか、未設定のままにすることができます。これを raw に設定すると、そのイメージの Ironic エージェントでの raw イメージのストリーミングが有効になります。これを live-iso に設定すると、iso イメージをディスクにデプロイせずにライブブートが可能になり、checksum フィールドは無視されます。

networkData

ネットワーク設定データおよびその namespace が含まれるシークレットへの参照。したがって、ホストが起動してネットワークをセットアップする前にホストに接続することができます。

online

ホストの電源を入れる (true) かオフにする (false) かを示すブール値。この値を変更すると、物理ホストの電源状態に変更が加えられます。

raid:
  hardwareRAIDVolumes:
  softwareRAIDVolumes:

(オプション) ベアメタルホストの RAID 設定に関する情報が含まれます。指定しない場合は、現在の設定を保持します。

注記

OpenShift Container Platform 4.16 は、以下を含む BMC のハードウェア RAID をサポートします。

  • RAID レベル 0、1、5、6、および 10 をサポートする Fujitsu iRMC
  • ファームウェアバージョン 6.10.30.20 以降および RAID レベル 0、1、および 5 に対応した Redfish API を使用する Dell iDRAC

OpenShift Container Platform 4.16 は、ソフトウェア RAID をサポートしていません。

次の構成設定を参照してください。

  • hardwareRAIDVolumes: ハードウェア RAID の論理ドライブの一覧が含まれ、ハードウェア RAID で必要なボリューム設定を定義します。rootDeviceHints を指定しない場合、最初のボリュームがルートボリュームになります。サブフィールドは以下のとおりです。

    • level: 論理ドライブの RAID レベル。012561+05+06+0 のレベルがサポートされます。
    • name: 文字列としてのボリュームの名前。サーバー内で一意である必要があります。指定されていない場合、ボリューム名は自動生成されます。
    • numberOfPhysicalDisks: 論理ドライブに使用する物理ドライブの数 (整数)。デフォルトは、特定の RAID レベルに必要なディスクドライブの最小数です。
    • physicalDisks: 物理ディスクドライブの名前の一覧です (文字列)。これはオプションのフィールドです。指定した場合、controller フィールドも指定する必要があります。
    • controller: (オプション) ハードウェア RAID ボリュームで使用する RAID コントローラーの名前 (文字列)。
    • rotational: true に設定すると、回転ディスクを用いるドライブのみが選択されます。false に設定すると、ソリッドステートドライブと NVMe ドライブのみが選択されます。設定されていない場合は、任意のドライブの種類を選択します (デフォルト動作)。
    • sizeGibibytes: 作成する論理ドライブのサイズ (GiB 単位の整数)。指定がない場合や 0 に設定すると、論理ドライブ用に物理ドライブの最大容量が使用されます。
  • softwareRAIDVolumes: OpenShift Container Platform 4.16 は、ソフトウェア RAID をサポートしていません。以下の情報は参考用です。この設定には、ソフトウェア RAID の論理ディスクのリストが含まれています。rootDeviceHints を指定しない場合、最初のボリュームがルートボリュームになります。HardwareRAIDVolumes を設定すると、この項目は無効になります。ソフトウェア RAID は常に削除されます。作成されるソフトウェア RAID デバイスの数は、1 または 2 である必要があります。ソフトウェア RAID デバイスが 1 つしかない場合は、RAID-1 にする必要があります。2 つの RAID デバイスがある場合は、1 番目のデバイスを RAID-1 にする必要があります。また、2 番目のデバイスの RAID レベルは 01、または 1+0に設定できます。最初の RAID デバイスがデプロイメントデバイスになります。したがって、RAID-1 を強制すると、デバイスに障害が発生した場合のノードが起動しないリスクが軽減されます。softwareRAIDVolume フィールドは、ソフトウェア RAID のボリュームの必要な設定を定義します。サブフィールドは以下のとおりです。

    • level: 論理ドライブの RAID レベル。011+0 のレベルがサポートされます。
    • physicalDisks: デバイスのヒントの一覧。アイテム数は、2 以上である必要があります。
    • sizeGibibytes: 作成される論理ディスクドライブのサイズ (GiB 単位の整数)。指定がない場合や 0 に設定すると、論理ドライブ用に物理ドライブの最大容量が使用されます。

hardwareRAIDVolume を空のスライスとして設定すると、ハードウェア RAID 設定を消去できます。以下に例を示します。

spec:
   raid:
     hardwareRAIDVolume: []

ドライバーが RAID に対応していないことを示すエラーメッセージが表示された場合は、raidhardwareRAIDVolumes または softwareRAIDVolumes を nil に設定します。ホストに RAID コントローラーがあることを確認する必要がある場合があります。

rootDeviceHints:
  deviceName:
  hctl:
  model:
  vendor:
  serialNumber:
  minSizeGigabytes:
  wwn:
  wwnWithExtension:
  wwnVendorExtension:
  rotational:

rootDeviceHints パラメーターを使用すると、特定のデバイスへの RHCOS イメージのプロビジョニングが可能になります。これは、検出順にデバイスを検査し、検出された値をヒントの値と比較します。ヒントの値と一致する最初に検出されたデバイスが使用されます。設定では複数のヒントを組み合わせることができますが、デバイスが選択されるには、デバイスがすべてのヒントと一致する必要があります。フィールドの詳細は以下のとおりです。

  • deviceName: /dev/vda などの Linux デバイス名が含まれる文字列。ヒントは、実際の値と完全に一致する必要があります。
  • hctl: 0:0:0:0 などの SCSI バスアドレスが含まれる文字列。ヒントは、実際の値と完全に一致する必要があります。
  • model: ベンダー固有のデバイス識別子が含まれる文字列。ヒントは、実際の値のサブ文字列になります。
  • vendor: デバイスのベンダーまたは製造元の名前が含まれる文字列。ヒントは、実際の値のサブ文字列になります。
  • serialNumber: デバイスのシリアル番号が含まれる文字列。ヒントは、実際の値と完全に一致する必要があります。
  • minSizeGigabytes: デバイスの最小サイズを表す整数 (ギガバイト単位)。
  • wwn: 一意のストレージ ID が含まれる文字列。ヒントは、実際の値と完全に一致する必要があります。
  • wwnWithExtension: ベンダー拡張が追加された一意のストレージ ID が含まれる文字列。ヒントは、実際の値と完全に一致する必要があります。
  • wwnVendorExtension: 一意のベンダーストレージ ID が含まれる文字列。ヒントは、実際の値と完全に一致する必要があります。
  • rotational: デバイスが回転ディスクを用いる (true) か、そうでないか (false) を示すブール値。

3.2.2. BareMetalHost status

BareMetalHost status は、ホストの現在の状態を表し、テスト済みの認証情報、現在のハードウェアの詳細などの情報が含まれます。

表3.2 BareMetalHost status
パラメーター説明

goodCredentials

シークレットおよびその namespace の参照で、システムが動作中と検証できるベースボード管理コントローラー (BMC) 認証情報のセットが保持されています。

errorMessage

プロビジョニングバックエンドが報告する最後のエラーの詳細 (ある場合)。

errorType

ホストがエラー状態になった原因となった問題のクラスを示します。エラータイプは以下のとおりです。

  • provisioned registration error: コントローラーがプロビジョニング済みのホストを再登録できない場合に発生します。
  • registration error: コントローラーがホストのベースボード管理コントローラーに接続できない場合に発生します。
  • inspection error: ホストからハードウェア詳細の取得を試みて失敗した場合に発生します。
  • preparation error: クリーニングに失敗した場合に発生します。
  • provisioning error: コントローラーがホストのプロビジョニングまたはプロビジョニング解除に失敗した場合に発生します。
  • power management error: コントローラーがホストの電源状態を変更できない場合に発生します。
  • detach error: コントローラーがホストをプロビジョナーからデタッチできない場合に発生します。
hardware:
  cpu
    arch:
    model:
    clockMegahertz:
    flags:
    count:

hardware.cpu フィールドは、システム内のの CPU の詳細を示します。フィールドには以下が含まれます。

  • arch: CPU のアーキテクチャー。
  • model: CPU モデル (文字列)。
  • clockMegahertz: CPU の速度 (MHz 単位)。
  • flags: CPU フラグの一覧。たとえば、'mmx'、'sse'、'sse2'、'vmx'などです。
  • count: システムで利用可能な CPU の数。
hardware:
  firmware:

BIOS ファームウェア情報が含まれます。たとえば、ハードウェアベンダーおよびバージョンなどです。

hardware:
  nics:
  - ip:
    name:
    mac:
    speedGbps:
    vlans:
    vlanId:
    pxe:

hardware.nics フィールドには、ホストのネットワークインターフェイスの一覧が含まれます。フィールドには以下が含まれます。

  • ip: NIC の IP アドレス (検出エージェントの実行時に IP アドレスが割り当てられている場合)。
  • name: ネットワークデバイスを識別する文字列。例:nic-1
  • mac: NIC の MAC アドレス。
  • speedGbps: デバイスの速度 (Gbps 単位)。
  • vlans: この NIC で利用可能な VLAN をすべて保持するリスト。
  • vlanId: タグ付けされていない VLAN ID。
  • pxe: NIC が PXE を使用して起動できるかどうか。
hardware:
  ramMebibytes:

ホストのメモリー容量 (MiB 単位)。

hardware:
  storage:
  - name:
    rotational:
    sizeBytes:
    serialNumber:

hardware.storage フィールドには、ホストで利用可能なストレージデバイスの一覧が含まれます。フィールドには以下が含まれます。

  • name: ストレージデバイスを識別する文字列。たとえば、disk 1 (boot) などです。
  • rotational: ディスクが回転ディスクを用いるかどうかを示します。true または false のいずれかを返します。
  • sizeBytes: ストレージデバイスのサイズ。
  • serialNumber: デバイスのシリアル番号。
hardware:
  systemVendor:
    manufacturer:
    productName:
    serialNumber:

ホストの manufacturerproductName、および serialNumber に関する情報が含まれます。

lastUpdated

ホストのステータスの最終更新時のタイムスタンプ。

operationalStatus

サーバーのステータス。ステータスは以下のいずれかになります。

  • OK: ホストの詳細がすべて認識され、正しく設定され、機能し、管理可能であることを示します。
  • discovered: ホストの詳細の一部が正常に動作していないか、欠落しているかのいずれかを意味します。たとえば、BMC アドレスは認識されているが、ログイン認証情報が認識されていない。
  • error: システムで回復不能なエラーが検出されたことを示します。詳細は、status セクションの errorMessage フィールドを参照してください。
  • delayed: 複数ホストの同時プロビジョニングを制限するために、プロビジョニングが遅延していることを示します。
  • detached: ホストが unmanaged として識別されていることを示します。

poweredOn

ホストの電源が入っているかどうかを示すブール値。

provisioning:
  state:
  id:
  image:
  raid:
  firmware:
  rootDeviceHints:

provisioning フィールドには、ホストへのイメージのデプロイに関連する値が含まれます。サブフィールドには以下が含まれます。

  • state: 進行中のプロビジョニング操作の現在の状態。状態には、以下が含まれます。

    • <空の文字列>: 現時点でプロビジョニングは行われていません。
    • unmanaged: ホストを登録するのに十分な情報が利用できません。
    • registering: エージェントはホストの BMC の詳細を確認しています。
    • match profile: エージェントは、ホストで検出されたハードウェア詳細と既知のプロファイルを比較しています。
    • available: ホストはプロビジョニングに使用できます。この状態は、以前は ready として知られていました。
    • preparing: 既存の設定は削除され、新しい設定がホストに設定されます。
    • provisioning: プロビジョナーはイメージをホストのストレージに書き込んでいます。
    • provisioned: プロビジョナーはイメージをホストのストレージに書き込みました。
    • externally provisioned: Metal3 は、ホスト上のイメージを管理しません。
    • deprovisioning: プロビジョナーは、ホストのストレージからイメージを消去しています。
    • inspecting: エージェントはホストのハードウェア情報を収集しています。
    • deleting: エージェントはクラスターから削除しています。
  • id: 基礎となるプロビジョニングツールのサービスの一意識別子。
  • image: 直近ホストにプロビジョニングされたイメージ。
  • raid: 最近設定したハードウェアまたはソフトウェア RAID ボリュームの一覧。
  • firmware: ベアメタルサーバーの BIOS 設定。
  • rootDeviceHints: 直近のプロビジョニング操作に使用されたルートデバイス選択の手順。

triedCredentials

プロビジョニングバックエンドに送信された BMC 認証情報の最後のセットを保持するシークレットおよびその namespace への参照。

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