6.5. Huge Page


Huge Page を理解し、これを設定します。

6.5.1. Huge Page の機能

メモリーは Page と呼ばれるブロックで管理されます。多くのシステムでは、1 ページは 4Ki です。メモリー 1Mi は 256 ページに、メモリー 1Gi は 256,000 ページに相当します。CPU には、内蔵のメモリー管理ユニットがあり、ハードウェアでこのようなページリストを管理します。トランスレーションルックアサイドバッファー (TLB: Translation Lookaside Buffer) は、仮想から物理へのページマッピングの小規模なハードウェアキャッシュのことです。ハードウェアの指示で渡された仮想アドレスが TLB にあれば、マッピングをすばやく決定できます。そうでない場合には、TLB ミスが発生し、システムは速度が遅く、ソフトウェアベースのアドレス変換にフォールバックされ、パフォーマンスの問題が発生します。TLB のサイズは固定されているので、TLB ミスの発生率を減らすには Page サイズを大きくする必要があります。

Huge Page とは、4Ki より大きいメモリーページのことです。x86_64 アーキテクチャーでは、2Mi と 1Gi の 2 つが一般的な Huge Page サイズです。別のアーキテクチャーではサイズは異なります。Huge Page を使用するには、アプリケーションが認識できるようにコードを書き込む必要があります。Transparent Huge Page (THP) は、アプリケーションによる認識なしに、Huge Page の管理を自動化しようとしますが、制約があります。特に、ページサイズは 2Mi に制限されます。THP では、THP のデフラグが原因で、メモリー使用率が高くなり、断片化が起こり、パフォーマンスの低下につながり、メモリーページがロックされてしまう可能性があります。このような理由から、アプリケーションは THP ではなく、事前割り当て済みの Huge Page を使用するように設計 (また推奨) される場合があります。

6.5.2. Huge Page がアプリケーションによって消費される仕組み

ノードは、Huge Page の容量をレポートできるように Huge Page を事前に割り当てる必要があります。ノードは、単一サイズの Huge Page のみを事前に割り当てることができます。

Huge Page は、リソース名の hugepages-<size> を使用してコンテナーレベルのリソース要件で消費可能です。この場合、サイズは特定のノードでサポートされる整数値を使用した最もコンパクトなバイナリー表記です。たとえば、ノードが 2048KiB ページサイズをサポートする場合、これはスケジュール可能なリソース hugepages-2Mi を公開します。CPU やメモリーとは異なり、Huge Page はオーバーコミットをサポートしません。

apiVersion: v1
kind: Pod
metadata:
  generateName: hugepages-volume-
spec:
  containers:
  - securityContext:
      privileged: true
    image: rhel7:latest
    command:
    - sleep
    - inf
    name: example
    volumeMounts:
    - mountPath: /dev/hugepages
      name: hugepage
    resources:
      limits:
        hugepages-2Mi: 100Mi 1
        memory: "1Gi"
        cpu: "1"
  volumes:
  - name: hugepage
    emptyDir:
      medium: HugePages
1
hugepages のメモリー量は、実際に割り当てる量に指定します。この値は、ページサイズで乗算した hugepages のメモリー量に指定しないでください。たとえば、Huge Page サイズが 2MB と仮定し、アプリケーションに Huge Page でバックアップする RAM 100 MB を使用する場合には、Huge Page は 50 に指定します。OpenShift Container Platform により、計算処理が実行されます。上記の例にあるように、100MB を直接指定できます。

指定されたサイズの Huge Page の割り当て

プラットフォームによっては、複数の Huge Page サイズをサポートするものもあります。特定のサイズの Huge Page を割り当てるには、Huge Page の起動コマンドパラメーターの前に、Huge Page サイズの選択パラメーター hugepagesz=<size> を指定してください。<size> の値は、バイトで指定する必要があります。その際、オプションでスケール接尾辞 [kKmMgG] を指定できます。デフォルトの Huge Page サイズは、default_hugepagesz=<size> の起動パラメーターで定義できます。

Huge page の要件

  • Huge Page 要求は制限と同じでなければなりません。制限が指定されているにもかかわらず、要求が指定されていない場合には、これがデフォルトになります。
  • Huge Page は、Pod のスコープで分割されます。コンテナーの分割は、今後のバージョンで予定されています。
  • Huge Page がサポートする EmptyDir ボリュームは、Pod 要求よりも多くの Huge Page メモリーを消費することはできません。
  • shmget()SHM_HUGETLB を使用して Huge Page を消費するアプリケーションは、proc/sys/vm/hugetlb_shm_group に一致する補助グループで実行する必要があります。

6.5.3. 起動時の Huge Page 設定

ノードは、OpenShift Container Platform クラスターで使用される Huge Page を事前に割り当てる必要があります。Huge Page を予約する方法は、ブート時とランタイム時に実行する 2 つの方法があります。ブート時の予約は、メモリーが大幅に断片化されていないために成功する可能性が高くなります。Node Tuning Operator は、現時点で特定のノードでの Huge Page のブート時の割り当てをサポートします。

手順

ノードの再起動を最小限にするには、以下の手順の順序に従う必要があります。

  1. ラベルを使用して同じ Huge Page 設定を必要とするすべてのノードにラベルを付けます。

    $ oc label node <node_using_hugepages> node-role.kubernetes.io/worker-hp=
  2. 以下の内容でファイルを作成し、これに hugepages-tuned-boottime.yaml という名前を付けます。

    apiVersion: tuned.openshift.io/v1
    kind: Tuned
    metadata:
      name: hugepages 1
      namespace: openshift-cluster-node-tuning-operator
    spec:
      profile: 2
      - data: |
          [main]
          summary=Boot time configuration for hugepages
          include=openshift-node
          [bootloader]
          cmdline_openshift_node_hugepages=hugepagesz=2M hugepages=50 3
        name: openshift-node-hugepages
    
      recommend:
      - machineConfigLabels: 4
          machineconfiguration.openshift.io/role: "worker-hp"
        priority: 30
        profile: openshift-node-hugepages
    1
    チューニングされたリソースの namehugepages に設定します。
    2
    Huge Page を割り当てる profile セクションを設定します。
    3
    一部のプラットフォームではさまざまなサイズの Huge Page をサポートするため、パラメーターの順序に注意してください。
    4
    マシン設定プールベースのマッチングを有効にします。
  3. チューニングされた hugepages オブジェクトの作成

    $ oc create -f hugepages-tuned-boottime.yaml
  4. 以下の内容でファイルを作成し、これに hugepages-mcp.yaml という名前を付けます。

    apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1
    kind: MachineConfigPool
    metadata:
      name: worker-hp
      labels:
        worker-hp: ""
    spec:
      machineConfigSelector:
        matchExpressions:
          - {key: machineconfiguration.openshift.io/role, operator: In, values: [worker,worker-hp]}
      nodeSelector:
        matchLabels:
          node-role.kubernetes.io/worker-hp: ""
  5. マシン設定プールを作成します。

    $ oc create -f hugepages-mcp.yaml

断片化されていないメモリーが十分にある場合、worker-hp マシン設定プールのすべてのノードには 50 2Mi の Huge Page が割り当てられているはずです。

$ oc get node <node_using_hugepages> -o jsonpath="{.status.allocatable.hugepages-2Mi}"
100Mi
注記

TuneD ブートローダープラグインは、Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) ワーカーノードのみサポートします。

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