第1章 イメージビルドについて
1.1. ビルド
ビルドとは、入力パラメーターを結果として作成されるオブジェクトに変換するプロセスです。ほとんどの場合、このプロセスは入力パラメーターまたはソースコードを実行可能なイメージに変換するために使用されます。BuildConfig
オブジェクトはビルドプロセス全体の定義です。
OpenShift Container Platform は、ビルドイメージからコンテナーを作成し、それらをコンテナーイメージレジストリーにプッシュして Kubernetes を使用します。
ビルドオブジェクトは共通の特性を共有します。これらには、ビルドの入力、ビルドプロセスの完了要件、ビルドプロセスのロギング、正常なビルドからのリリースのパブリッシュ、およびビルドの最終ステータスのパブリッシュが含まれます。ビルドはリソースの制限を利用し、CPU 使用、メモリー使用およびビルドまたは Pod の実行時間などのリソースの制限を指定します。
OpenShift Container Platform ビルドシステムは、ビルド API で指定される選択可能なタイプに基づくビルドストラテジーを幅広くサポートします。利用可能なビルドストラテジーは主に 3 つあります。
- docker ビルド
- Source-to-Image (S2I) ビルド
- カスタムビルド
デフォルトで、docker ビルドおよび S2I ビルドがサポートされます。
ビルドの作成されるオブジェクトはこれを作成するために使用されるビルダーによって異なります。docker および S2I ビルドの場合、作成されるオブジェクトは実行可能なイメージです。カスタムビルドの場合、作成されるオブジェクトはビルダーイメージの作成者が指定するものになります。
さらに、パイプラインビルドストラテジーを使用して、高度なワークフローを実装することができます。
- 継続的インテグレーション
- 継続的デプロイメント
1.1.1. docker ビルド
OpenShift Container Platform は Buildah を使用して Dockerfile からコンテナーイメージをビルドします。Dockerfile を使用したコンテナーイメージのビルドの詳細は、Dockerfile リファレンスドキュメント を参照してください。
buildArgs
配列を使用して Docker ビルド引数を設定する場合は、Dockerfile リファレンスドキュメントの ARG および FROM の対話方法 を参照してください。
1.1.2. Source-to-Image ビルド
Source-to-Image (S2I) は再現可能なコンテナーイメージをビルドするためのツールです。これはアプリケーションソースをコンテナーイメージに挿入し、新規イメージをアセンブルして実行可能なイメージを生成します。新規イメージはベースイメージ、ビルダーおよびビルドされたソースを組み込み、buildah run
コマンドで使用することができます。S2I は増分ビルドをサポートします。これは以前にダウンロードされた依存関係や、以前にビルドされたアーティファクトなどを再利用します。
1.1.3. カスタムビルド
カスタムビルドストラテジーにより、開発者はビルドプロセス全体を対象とする特定のビルダーイメージを定義できます。独自のビルダーイメージを使用することにより、ビルドプロセスをカスタマイズできます。
カスタムビルダーイメージは、RPM またはベースイメージの構築など、ビルドプロセスのロジックに組み込まれるプレーンなコンテナーイメージです。
カスタムビルドは高いレベルの権限で実行されるため、デフォルトではユーザーが利用することはできません。クラスター管理者のパーミッションを持つ信頼できるユーザーのみにカスタムビルドを実行するためのアクセスが付与される必要があります。
1.1.4. パイプラインビルド
パイプラインビルドストラテジーは OpenShift Container Platform 4 では非推奨になりました。同等の機能および改善機能は、Tekton をベースとする OpenShift Container Platform Pipeline にあります。
OpenShift Container Platform の Jenkins イメージは完全にサポートされており、ユーザーは Jenkins ユーザーのドキュメントに従ってジョブで jenkinsfile
を定義するか、これをソースコントロール管理システムに保存します。
開発者は、パイプラインビルドストラテジーを利用して Jenkins パイプラインプラグインで使用できるように Jenkins パイプラインを定義することができます。このビルドについては、他のビルドタイプの場合と同様に OpenShift Container Platform での起動、モニタリング、管理が可能です。
パイプラインワークフローは、ビルド設定に直接組み込むか、Git リポジトリーに配置してビルド設定で参照して jenkinsfile
で定義します。