6.10. Cluster Resource Override Operator を使用したクラスターレベルのオーバーコミット
Cluster Resource Override Operator は、クラスター内のすべてのノードでオーバーコミットのレベルを制御し、コンテナーの密度を管理できる受付 Webhook です。Operator は、特定のプロジェクトのノードが定義されたメモリーおよび CPU 制限を超える場合に制御します。
以下のセクションで説明されているように、OpenShift Container Platform コンソールまたは CLI を使用して Cluster Resource Override Operator をインストールする必要があります。インストール時に、以下の例のように、オーバーコミットのレベルを設定する ClusterResourceOverride
カスタムリソース (CR) を作成します。
apiVersion: operator.autoscaling.openshift.io/v1 kind: ClusterResourceOverride metadata: name: cluster 1 spec: podResourceOverride: spec: memoryRequestToLimitPercent: 50 2 cpuRequestToLimitPercent: 25 3 limitCPUToMemoryPercent: 200 4 # ...
- 1
- 名前は
cluster
でなければなりません。 - 2
- オプション: コンテナーのメモリー制限が指定されているか、デフォルトに設定されている場合、メモリー要求は制限のパーセンテージ (1-100) に対して上書きされます。デフォルトは 50 です。
- 3
- オプション: コンテナーの CPU 制限が指定されているか、デフォルトに設定されている場合、CPU 要求は、1-100 までの制限のパーセンテージに対応して上書きされます。デフォルトは 25 です。
- 4
- オプション: コンテナーのメモリー制限が指定されているか、デフォルトに設定されている場合、CPU 制限は、指定されている場合にメモリーのパーセンテージに対して上書きされます。1Gi の RAM の 100 パーセントでのスケーリングは、1 CPU コアに等しくなります。これは、CPU 要求を上書きする前に処理されます (設定されている場合)。デフォルトは 200 です。
Cluster Resource Override Operator の上書きは、制限がコンテナーに設定されていない場合は影響を与えません。個別プロジェクトごとのデフォルト制限を使用して LimitRange
オブジェクトを作成するか、Pod
仕様で制限を設定し、上書きが適用されるようにします。
設定時に、以下のラベルを各プロジェクトの namespace オブジェクトに適用し、上書きをプロジェクトごとに有効にできます。
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: # ... labels: clusterresourceoverrides.admission.autoscaling.openshift.io/enabled: "true" # ...
Operator は ClusterResourceOverride
CR の有無を監視し、ClusterResourceOverride
受付 Webhook が Operator と同じ namespace にインストールされるようにします。
6.10.1. Web コンソールを使用した Cluster Resource Override Operator のインストール
クラスターでオーバーコミットを制御できるように、OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して Cluster Resource Override Operator をインストールできます。
前提条件
-
制限がコンテナーに設定されていない場合、Cluster Resource Override Operator は影響を与えません。
LimitRange
オブジェクトを使用してプロジェクトのデフォルト制限を指定するか、Pod
仕様で制限を設定して上書きが適用されるようにする必要があります。
手順
OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して Cluster Resource Override Operator をインストールするには、以下を実行します。
OpenShift Container Platform Web コンソールで、Home
Projects に移動します。 - Create Project をクリックします。
-
clusterresourceoverride-operator
をプロジェクトの名前として指定します。 - Create をクリックします。
Operators
OperatorHub に移動します。 - 利用可能な Operator のリストから ClusterResourceOverride Operator を選択し、Install をクリックします。
- Install Operator ページで、A specific Namespace on the cluster が Installation Mode に選択されていることを確認します。
- clusterresourceoverride-operator が Installed Namespace に選択されていることを確認します。
- Update Channel および Approval Strategy を選択します。
- Install をクリックします。
Installed Operators ページで、ClusterResourceOverride をクリックします。
- ClusterResourceOverride Operator 詳細ページで、Create ClusterResourceOverride をクリックします。
Create ClusterResourceOverride ページで、YAML view をクリックして、YAML テンプレートを編集し、必要に応じてオーバーコミット値を設定します。
apiVersion: operator.autoscaling.openshift.io/v1 kind: ClusterResourceOverride metadata: name: cluster 1 spec: podResourceOverride: spec: memoryRequestToLimitPercent: 50 2 cpuRequestToLimitPercent: 25 3 limitCPUToMemoryPercent: 200 4 # ...
- 1
- 名前は
cluster
でなければなりません。 - 2
- オプション: コンテナーメモリーの制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを 1-100 までの値で指定します。デフォルトは 50 です。
- 3
- オプション: コンテナー CPU の制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを 1-100 までの値で指定します。デフォルトは 25 です。
- 4
- オプション: コンテナーメモリーの制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを指定します。1Gi の RAM の 100 パーセントでのスケーリングは、1 CPU コアに等しくなります。これは、CPU 要求を上書きする前に処理されます (設定されている場合)。デフォルトは 200 です。
- Create をクリックします。
クラスターカスタムリソースのステータスをチェックして、受付 Webhook の現在の状態を確認します。
- ClusterResourceOverride Operator ページで、cluster をクリックします。
ClusterResourceOverride Details ページで、YAML をクリックします。Webhook の呼び出し時に、
mutatingWebhookConfigurationRef
セクションが表示されます。apiVersion: operator.autoscaling.openshift.io/v1 kind: ClusterResourceOverride metadata: annotations: kubectl.kubernetes.io/last-applied-configuration: | {"apiVersion":"operator.autoscaling.openshift.io/v1","kind":"ClusterResourceOverride","metadata":{"annotations":{},"name":"cluster"},"spec":{"podResourceOverride":{"spec":{"cpuRequestToLimitPercent":25,"limitCPUToMemoryPercent":200,"memoryRequestToLimitPercent":50}}}} creationTimestamp: "2019-12-18T22:35:02Z" generation: 1 name: cluster resourceVersion: "127622" selfLink: /apis/operator.autoscaling.openshift.io/v1/clusterresourceoverrides/cluster uid: 978fc959-1717-4bd1-97d0-ae00ee111e8d spec: podResourceOverride: spec: cpuRequestToLimitPercent: 25 limitCPUToMemoryPercent: 200 memoryRequestToLimitPercent: 50 status: # ... mutatingWebhookConfigurationRef: 1 apiVersion: admissionregistration.k8s.io/v1 kind: MutatingWebhookConfiguration name: clusterresourceoverrides.admission.autoscaling.openshift.io resourceVersion: "127621" uid: 98b3b8ae-d5ce-462b-8ab5-a729ea8f38f3 # ...
- 1
ClusterResourceOverride
受付 Webhook への参照。
6.10.2. CLI を使用した Cluster Resource Override Operator のインストール
OpenShift Container Platform CLI を使用して Cluster Resource Override Operator をインストールし、クラスターでのオーバーコミットを制御できます。
前提条件
-
制限がコンテナーに設定されていない場合、Cluster Resource Override Operator は影響を与えません。
LimitRange
オブジェクトを使用してプロジェクトのデフォルト制限を指定するか、Pod
仕様で制限を設定して上書きが適用されるようにする必要があります。
手順
CLI を使用して Cluster Resource Override Operator をインストールするには、以下を実行します。
Cluster Resource Override の namespace を作成します。
Cluster Resource Override Operator の
Namespace
オブジェクト YAML ファイル (cro-namespace.yaml
など) を作成します。apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: name: clusterresourceoverride-operator
namespace を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
以下に例を示します。
$ oc create -f cro-namespace.yaml
Operator グループを作成します。
Cluster Resource Override Operator の
OperatorGroup
オブジェクトの YAML ファイル (cro-og.yaml など) を作成します。apiVersion: operators.coreos.com/v1 kind: OperatorGroup metadata: name: clusterresourceoverride-operator namespace: clusterresourceoverride-operator spec: targetNamespaces: - clusterresourceoverride-operator
Operator グループを作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
以下に例を示します。
$ oc create -f cro-og.yaml
サブスクリプションを作成します。
Cluster Resource Override Operator の
Subscription
オブジェクト YAML ファイル (cro-sub.yaml など) を作成します。apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1 kind: Subscription metadata: name: clusterresourceoverride namespace: clusterresourceoverride-operator spec: channel: "4.16" name: clusterresourceoverride source: redhat-operators sourceNamespace: openshift-marketplace
サブスクリプションを作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
以下に例を示します。
$ oc create -f cro-sub.yaml
ClusterResourceOverride
カスタムリソース (CR) オブジェクトをclusterresourceoverride-operator
namespace に作成します。clusterresourceoverride-operator
namespace に切り替えます。$ oc project clusterresourceoverride-operator
Cluster Resource Override Operator の
ClusterResourceOverride
オブジェクト YAML ファイル (cro-cr.yaml など) を作成します。apiVersion: operator.autoscaling.openshift.io/v1 kind: ClusterResourceOverride metadata: name: cluster 1 spec: podResourceOverride: spec: memoryRequestToLimitPercent: 50 2 cpuRequestToLimitPercent: 25 3 limitCPUToMemoryPercent: 200 4
- 1
- 名前は
cluster
でなければなりません。 - 2
- オプション: コンテナーメモリーの制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを 1-100 までの値で指定します。デフォルトは 50 です。
- 3
- オプション: コンテナー CPU の制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを 1-100 までの値で指定します。デフォルトは 25 です。
- 4
- オプション: コンテナーメモリーの制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを指定します。1Gi の RAM の 100 パーセントでのスケーリングは、1 CPU コアに等しくなります。これは、CPU 要求を上書きする前に処理されます (設定されている場合)。デフォルトは 200 です。
ClusterResourceOverride
オブジェクトを作成します。$ oc create -f <file-name>.yaml
以下に例を示します。
$ oc create -f cro-cr.yaml
クラスターカスタムリソースのステータスをチェックして、受付 Webhook の現在の状態を確認します。
$ oc get clusterresourceoverride cluster -n clusterresourceoverride-operator -o yaml
Webhook の呼び出し時に、
mutatingWebhookConfigurationRef
セクションが表示されます。出力例
apiVersion: operator.autoscaling.openshift.io/v1 kind: ClusterResourceOverride metadata: annotations: kubectl.kubernetes.io/last-applied-configuration: | {"apiVersion":"operator.autoscaling.openshift.io/v1","kind":"ClusterResourceOverride","metadata":{"annotations":{},"name":"cluster"},"spec":{"podResourceOverride":{"spec":{"cpuRequestToLimitPercent":25,"limitCPUToMemoryPercent":200,"memoryRequestToLimitPercent":50}}}} creationTimestamp: "2019-12-18T22:35:02Z" generation: 1 name: cluster resourceVersion: "127622" selfLink: /apis/operator.autoscaling.openshift.io/v1/clusterresourceoverrides/cluster uid: 978fc959-1717-4bd1-97d0-ae00ee111e8d spec: podResourceOverride: spec: cpuRequestToLimitPercent: 25 limitCPUToMemoryPercent: 200 memoryRequestToLimitPercent: 50 status: # ... mutatingWebhookConfigurationRef: 1 apiVersion: admissionregistration.k8s.io/v1 kind: MutatingWebhookConfiguration name: clusterresourceoverrides.admission.autoscaling.openshift.io resourceVersion: "127621" uid: 98b3b8ae-d5ce-462b-8ab5-a729ea8f38f3 # ...
- 1
ClusterResourceOverride
受付 Webhook への参照。
6.10.3. クラスターレベルのオーバーコミットの設定
Cluster Resource Override Operator には、Operator がオーバーコミットを制御する必要のある各プロジェクトの ClusterResourceOverride
カスタムリソース (CR) およびラベルが必要です。
前提条件
-
制限がコンテナーに設定されていない場合、Cluster Resource Override Operator は影響を与えません。
LimitRange
オブジェクトを使用してプロジェクトのデフォルト制限を指定するか、Pod
仕様で制限を設定して上書きが適用されるようにする必要があります。
手順
クラスターレベルのオーバーコミットを変更するには、以下を実行します。
ClusterResourceOverride
CR を編集します。apiVersion: operator.autoscaling.openshift.io/v1 kind: ClusterResourceOverride metadata: name: cluster spec: podResourceOverride: spec: memoryRequestToLimitPercent: 50 1 cpuRequestToLimitPercent: 25 2 limitCPUToMemoryPercent: 200 3 # ...
- 1
- オプション: コンテナーメモリーの制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを 1-100 までの値で指定します。デフォルトは 50 です。
- 2
- オプション: コンテナー CPU の制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを 1-100 までの値で指定します。デフォルトは 25 です。
- 3
- オプション: コンテナーメモリーの制限を上書きするためのパーセンテージが使用される場合は、これを指定します。1Gi の RAM の 100 パーセントでのスケーリングは、1 CPU コアに等しくなります。これは、CPU 要求を上書きする前に処理されます (設定されている場合)。デフォルトは 200 です。
以下のラベルが Cluster Resource Override Operator がオーバーコミットを制御する必要のある各プロジェクトの namespace オブジェクトに追加されていることを確認します。
apiVersion: v1 kind: Namespace metadata: # ... labels: clusterresourceoverrides.admission.autoscaling.openshift.io/enabled: "true" 1 # ...
- 1
- このラベルを各プロジェクトに追加します。