3.2. Jaeger の設定およびデプロイ
Jaeger Operator には、Jaeger リソースのアーキテクチャーおよび設定を定義するカスタムリソース定義 (CRD) ファイルが含まれます。デフォルト設定をインストールするか、またはビジネス要件に合わせてファイルを変更することができます。
Jaeger には事前に定義されたデプロイメントストラテジーがあります。カスタムリソースファイルでデプロイメントストラテジーを指定します。Jaeger インスタンスの作成時に、Operator はこの設定ファイルを使用してデプロイメントに必要なオブジェクトを作成します。
デプロイメントストラテジーを表示する Jaeger カスタムリソースファイル
apiVersion: jaegertracing.io/v1
kind: Jaeger
metadata:
name: simple-prod
spec:
strategy: production 1
- 1
- Jaeger Operator は現時点で以下のデプロイメントストラテジーをサポートします。
allInOne (デフォルト): このストラテジーは、開発、テストおよびデモの目的で使用されることが意図されています。主なバックエンドコンポーネントである Agent、Collector、および Query サービスはすべて、インメモリーストレージを使用するように (デフォルトで) 設定された単一の実行可能ファイルにパッケージ化されます。
注記インメモリーストレージには永続性がありません。つまり、Jaeger インスタンスがシャットダウンするか、再起動するか、または置き換えられると、トレースデータが失われます。各 Pod には独自のメモリーがあるため、インメモリーストレージはスケーリングできません。永続ストレージの場合、デフォルトのストレージとして Elasticsearch を使用する
production
またはstreaming
ストラテジーを使用する必要があります。- production: production ストラテジーは、実稼働環境向けのストラテジーであり、トレースデータの長期の保存が重要となり、より拡張性および高可用性のあるアーキテクチャーも必要になります。そのため、バックエンドコンポーネントはそれぞれ別々にデプロイされます。エージェントは、インストルメント化されたアプリケーションのサイドカーまたは Deamonset として挿入できます。Query および Collector サービスは、サポートされているストレージタイプ (現時点では Elasticsearch) で設定されます。これらの各コンポーネントの複数のインスタンスは、パフォーマンスと回復性を確保するために、必要に応じてプロビジョニングできます。
streaming: streaming ストラテジーは、Collector とバックエンドストレージ (Elasticsearch) 間に効果的に配置されるストリーミング機能を提供することで、production ストラテジーを増強する目的で設計されています。これにより、負荷の高い状況でバックエンドストレージに加わる圧力を軽減し、他のトレース処理後の機能がストリーミングプラットフォーム (AMQ Streams/ Kafka) から直接リアルタイムのスパンデータを利用できるようにします。
注記ストリーミングストラテジーには、AMQ Streams 用の追加の Red Hat サブスクリプションが必要です。
サービスメッシュの一部としてか、またはスタンドアロンのコンポーネントとして Jaeger をインストールするには 2 つの方法があります。Jaeger を Red Hat OpenShift Service Mesh の一部としてインストールしている場合、ServiceMeshControlPlane の一部として Jaeger を設定し、デプロイする必要があります。
3.2.1. Web コンソールからのデフォルト Jaeger ストラテジーのデプロイ
カスタムリソース定義 (CRD) は、Jaeger のインスタンスをデプロイする際に使用される設定を定義します。Jaeger のデフォルト CR は jaeger-all-in-one-inmemory
という名前で、デフォルトの OpenShift Container Platform インストールに正常にインストールできるように最小リソースで設定されます。このデフォルト設定を使用して、AllInOne
デプロイメントストラテジーを使用する Jaeger インスタンスを作成するか、または独自のカスタムリソースファイルを定義できます。
インメモリーストレージには永続性がありません。つまり、Jaeger Pod がシャットダウンするか、再起動するか、または置き換えられると、トレースデータが失われます。永続ストレージの場合、デフォルトのストレージとして Elasticsearch を使用する production
または streaming
ストラテジーを使用する必要があります。
前提条件
- Jaeger Operator がインストールされている必要があります。
- Jaeger インストールのカスタマイズ方法についての手順を確認します。
-
cluster-admin
ロールを持つアカウントが必要です。
手順
-
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform Web コンソールにログインします。 新規プロジェクト (例:
jaeger-system
) を作成します。-
Home
Projects に移動します。 - Create Project をクリックします。
-
Name フィールドに
jaeger-system
を入力します。 - Create をクリックします。
-
Home
-
Operators
Installed Operators に移動します。 -
必要な場合は、Project メニューから
jaeger-system
を選択します。Operator が新規プロジェクトにコピーされるまでに数分待機する必要がある場合があります。 - OpenShift Jaeger Operator をクリックします。Overview タブの Provided APIs で、Operator は単一リンクを提供します。
- Jaeger で Create Instance をクリックします。
- Create Jaeger ページで、デフォルトを使用してインストールするには、 Create をクリックして Jaeger インスタンスを作成します。
-
Jaegers ページで、Jaeger インスタンスの名前 (例:
jaeger-all-in-one-inmemory
) をクリックします。 - Jaeger Details ページで、Resources タブをクリックします。Pod のステータスが Running になるまで待機してから続行します。
3.2.1.1. CLI からのデフォルト Jaeger のデプロイ
以下の手順に従って、コマンドラインから Jaeger のインスタンスを作成します。
前提条件
- OpenShift Jaeger Operator がインストールされ、検証済みです。
-
OpenShift Container Platform バージョンに一致する OpenShift CLI (
oc
) へのアクセスが可能です。 -
cluster-admin
ロールを持つアカウントが必要です。
手順
cluster-admin
ロールを持つユーザーとして OpenShift Container Platform CLI にログインします。$ oc login https://{HOSTNAME}:8443
jaeger-system
という名前の新規プロジェクトを作成します。$ oc new-project jaeger-system
以下のテキストが含まれる
jaeger.yaml
という名前のカスタムリソースファイルを作成します。例: jaeger-all-in-one.yaml
apiVersion: jaegertracing.io/v1 kind: Jaeger metadata: name: jaeger-all-in-one-inmemory
以下のコマンドを実行して Jaeger をデプロイします。
$ oc create -n jaeger-system -f jaeger.yaml
以下のコマンドを実行して、インストールプロセス時の Pod の進捗を確認します。
$ oc get pods -n jaeger-system -w
インストールプロセスが完了すると、以下のような出力が表示されるはずです。
NAME READY STATUS RESTARTS AGE jaeger-all-in-one-inmemory-cdff7897b-qhfdx 2/2 Running 0 24s