1.4.3. メモリー使用率のための Horizontal Pod Autoscaler オブジェクトの作成
直接の値または要求されるメモリーのパーセンテージのいずれかで指定する平均のメモリー使用率を維持するために、オブジェクトに関連付けられた Pod を自動的にスケーリングする既存の DeploymentConfig
オブジェクトまたは ReplicationController
オブジェクトの Horizontal Pod Autoscaler (HPA) を作成できます。
HPA は、すべての Pod で指定のメモリー使用率を維持するために、最小数と最大数の間のレプリカ数を増減します。
メモリー使用率については、Pod の最小数および最大数と、Pod がターゲットとする平均のメモリー使用率を指定することができます。最小値を指定しない場合、Pod には OpenShift Container Platform サーバーからのデフォルト値が付与されます。
メモリー使用率の自動スケーリングはテクノロジープレビュー機能としてのみ提供されています。テクノロジープレビュー機能は Red Hat の実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポートについての詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
前提条件
Horizontal Pod Autoscaler を使用するには、クラスターの管理者はクラスターメトリクスを適切に設定している必要があります。メトリクスが設定されているかどうかは、oc describe PodMetrics <pod-name>
コマンドを使用して判断できます。メトリクスが設定されている場合、出力は以下の Usage
の下にある Cpu
と Memory
のように表示されます。
$ oc describe PodMetrics openshift-kube-scheduler-ip-10-0-129-223.compute.internal -n openshift-kube-scheduler
出力例
Name: openshift-kube-scheduler-ip-10-0-129-223.compute.internal Namespace: openshift-kube-scheduler Labels: <none> Annotations: <none> API Version: metrics.k8s.io/v1beta1 Containers: Name: scheduler Usage: Cpu: 2m Memory: 41056Ki Name: wait-for-host-port Usage: Memory: 0 Kind: PodMetrics Metadata: Creation Timestamp: 2020-02-14T22:21:14Z Self Link: /apis/metrics.k8s.io/v1beta1/namespaces/openshift-kube-scheduler/pods/openshift-kube-scheduler-ip-10-0-129-223.compute.internal Timestamp: 2020-02-14T22:21:14Z Window: 5m0s Events: <none>
手順
メモリー使用率の Horizontal Pod Autoscaler を作成するには、以下を実行します。
以下のいずれか 1 つを含む YAML ファイルを作成します。
特定のメモリー値についてスケーリングするには、既存の
DeploymentConfig
オブジェクトまたはレプリケーションコントローラーについて以下のようなHorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。出力例
apiVersion: autoscaling/v2beta2 1 kind: HorizontalPodAutoscaler metadata: name: hpa-resource-metrics-memory 2 namespace: default spec: scaleTargetRef: apiVersion: v1 3 kind: ReplicationController 4 name: example 5 minReplicas: 1 6 maxReplicas: 10 7 metrics: 8 - type: Resource resource: name: memory 9 target: type: AverageValue 10 averageValue: 500Mi 11 behavior: 12 scaleDown: stabilizationWindowSeconds: 300 policies: - type: Pods value: 4 periodSeconds: 60 - type: Percent value: 10 periodSeconds: 60 selectPolicy: Max
- 1
autoscaling/v2beta2
API を使用します。- 2
- この Horizontal Pod Autoscaler オブジェクトの名前を指定します。
- 3
- スケーリングするオブジェクトの API バージョンを指定します。
-
レプリケーションコントローラーについては、
v1
を使用します。 -
DeploymentConfig
オブジェクトについては、apps.openshift.io/v1
を使用します。
-
レプリケーションコントローラーについては、
- 4
- スケーリングするオブジェクトの種類 (
ReplicationController
またはDeploymentConfig
のいずれか) を指定します。 - 5
- スケーリングするオブジェクトの名前を指定します。オブジェクトが存在する必要があります。
- 6
- スケールダウン時のレプリカの最小数を指定します。
- 7
- スケールアップ時のレプリカの最大数を指定します。
- 8
- メモリー使用率に
metrics
パラメーターを使用します。 - 9
- メモリー使用率の
memory
を指定します。 - 10
- タイプを
AverageValue
に設定します。 - 11
averageValue
および特定のメモリー値を指定します。- 12
- オプション: スケールアップまたはスケールダウンのレートを制御するスケーリングポリシーを指定します。
パーセンテージについてスケーリングするには、以下のように
HorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。出力例
apiVersion: autoscaling/v2beta2 1 kind: HorizontalPodAutoscaler metadata: name: memory-autoscale 2 namespace: default spec: scaleTargetRef: apiVersion: apps.openshift.io/v1 3 kind: DeploymentConfig 4 name: example 5 minReplicas: 1 6 maxReplicas: 10 7 metrics: 8 - type: Resource resource: name: memory 9 target: type: Utilization 10 averageUtilization: 50 11 behavior: 12 scaleUp: stabilizationWindowSeconds: 180 policies: - type: Pods value: 6 periodSeconds: 120 - type: Percent value: 10 periodSeconds: 120 selectPolicy: Max
- 1
autoscaling/v2beta2
API を使用します。- 2
- この Horizontal Pod Autoscaler オブジェクトの名前を指定します。
- 3
- スケーリングするオブジェクトの API バージョンを指定します。
-
レプリケーションコントローラーについては、
v1
を使用します。 -
DeploymentConfig
オブジェクトについては、apps.openshift.io/v1
を使用します。
-
レプリケーションコントローラーについては、
- 4
- スケーリングするオブジェクトの種類 (
ReplicationController
またはDeploymentConfig
のいずれか) を指定します。 - 5
- スケーリングするオブジェクトの名前を指定します。オブジェクトが存在する必要があります。
- 6
- スケールダウン時のレプリカの最小数を指定します。
- 7
- スケールアップ時のレプリカの最大数を指定します。
- 8
- メモリー使用率に
metrics
パラメーターを使用します。 - 9
- メモリー使用率の
memory
を指定します。 - 10
Utilization
に設定します。- 11
averageUtilization
および ターゲットに設定する平均メモリー使用率をすべての Pod に対して指定します (要求されるメモリーのパーセントで表す)。ターゲット Pod にはメモリー要求が設定されている必要があります。- 12
- オプション: スケールアップまたはスケールダウンのレートを制御するスケーリングポリシーを指定します。
Horizontal Pod Autoscaler を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
以下に例を示します。
$ oc create -f hpa.yaml
出力例
horizontalpodautoscaler.autoscaling/hpa-resource-metrics-memory created
Horizontal Pod Autoscaler が作成されていることを確認します。
$ oc get hpa hpa-resource-metrics-memory
出力例
NAME REFERENCE TARGETS MINPODS MAXPODS REPLICAS AGE hpa-resource-metrics-memory ReplicationController/example 2441216/500Mi 1 10 1 20m
$ oc describe hpa hpa-resource-metrics-memory
出力例
Name: hpa-resource-metrics-memory Namespace: default Labels: <none> Annotations: <none> CreationTimestamp: Wed, 04 Mar 2020 16:31:37 +0530 Reference: ReplicationController/example Metrics: ( current / target ) resource memory on pods: 2441216 / 500Mi Min replicas: 1 Max replicas: 10 ReplicationController pods: 1 current / 1 desired Conditions: Type Status Reason Message ---- ------ ------ ------- AbleToScale True ReadyForNewScale recommended size matches current size ScalingActive True ValidMetricFound the HPA was able to successfully calculate a replica count from memory resource ScalingLimited False DesiredWithinRange the desired count is within the acceptable range Events: Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Normal SuccessfulRescale 6m34s horizontal-pod-autoscaler New size: 1; reason: All metrics below target