13.2.2. カーネルモジュールのノードへの追加


大半の一般的なハードウェアの場合、Linux カーネルには、コンピューターの起動時にそのハードウェアを使用するために必要となるデバイスドライバーモジュールが含まれます。ただし、一部のハードウェアの場合、Linux でモジュールを利用できません。したがって、各ホストコンピューターにこれらのモジュールを提供する方法を確保する必要があります。この手順では、OpenShift Container Platform クラスターのノードについてこれを実行する方法を説明します。

この手順に従ってカーネルモジュールを最初にデプロイする際、モジュールは現行のカーネルに対して利用可能になります。新規カーネルがインストールされると、kmods-via-containers ソフトウェアはモジュールを再ビルドし、デプロイしてそのモジュールの新規カーネルと互換性のあるバージョンが利用可能になるようにします。

この機能によって各ノードでモジュールが最新の状態に保てるようにするために、以下が実行されます。

  • 新規カーネルがインストールされているかどうかを検出するために、システムの起動時に起動する各ノードに systemd サービスを追加します。
  • 新規カーネルが検出されると、サービスはモジュールを再ビルドし、これをカーネルにインストールします。

この手順に必要なソフトウェアの詳細については、kmods-via-containers github サイトを参照してください。

以下の重要な点に留意してください。

  • この手順はテクノロジープレビューです。
  • ソフトウェアのツールおよびサンプルは公式の RPM 形式で利用できず、現時点ではこの手順に記載されている非公式の github.com サイトからしか取得できません。
  • この手順で追加する必要がある可能性のあるサードパーティーのカーネルモジュールについては Red Hat はサポートしません。
  • この手順では、カーネルモジュールのビルドに必要なソフトウェアは RHEL 8 コンテナーにデプロイされます。モジュールは、ノードが新規カーネルを取得する際に各ノードで自動的に再ビルドされることに注意してください。このため、各ノードには、モジュールの再ビルドに必要なカーネルと関連パッケージを含む yum リポジトリーへのアクセスが必要です。このコンテンツは、有効な RHEL サブスクリプションを使用して効果的に利用できます。

13.2.2.1. カーネルモジュールコンテナーのビルドおよびテスト

カーネルモジュールを OpenShift Container Platform クラスターにデプロイする前に、プロセスを別の RHEL システムでテストできます。カーネルモジュールのソースコード、KVC フレームワーク、および kmod-via-containers ソフトウェアを収集します。次にモジュールをビルドし、テストします。RHEL 8 システムでこれを行うには、以下を実行します。

手順

  1. RHEL 8 システムを登録します。

    # subscription-manager register
  2. RHEL 8 システムにサブスクリプションを割り当てます。

    # subscription-manager attach --auto
  3. ソフトウェアとコンテナーのビルドに必要なソフトウェアをインストールします。

    # yum install podman make git -y
  4. kmod-via-containers リポジトリーのクローンを作成します。

    1. リポジトリーのフォルダーを作成します。

      $ mkdir kmods; cd kmods
    2. リポジトリーのクローンを作成します。

      $ git clone https://github.com/kmods-via-containers/kmods-via-containers
  5. RHEL 8 ビルドホストに KVC フレームワークインスタンスをインストールし、モジュールをテストします。これにより、kmods-via-container systemd サービスが追加され、読み込まれます。

    1. kmod-via-containers ディレクトリーに移動します。

      $ cd kmods-via-containers/
    2. KVC フレームワークインスタンスをインストールします。

      $ sudo make install
    3. systemd マネージャー設定を再読み込みします。

      $ sudo systemctl daemon-reload
  6. カーネルモジュールのソースコードを取得します。ソースコードは、制御下になく、他から提供されるサードパーティーモジュールをビルドするために使用される可能性があります。システムに対してクローン作成できる以下の kvc-simple-kmod サンプルのコンテンツと同様のコンテンツが必要になります。

    $ cd .. ; git clone https://github.com/kmods-via-containers/kvc-simple-kmod
  7. この例では、設定ファイル simple-kmod.conf を編集し、Dockerfile の名前を Dockerfile.rhel に変更します。

    1. kvc-simple-kmod ディレクトリーに移動します。

      $ cd kvc-simple-kmod
    2. Dockerfile の名前を変更します。

      $ cat simple-kmod.conf

      Dockerfile の例

      KMOD_CONTAINER_BUILD_CONTEXT="https://github.com/kmods-via-containers/kvc-simple-kmod.git"
      KMOD_CONTAINER_BUILD_FILE=Dockerfile.rhel
      KMOD_SOFTWARE_VERSION=dd1a7d4
      KMOD_NAMES="simple-kmod simple-procfs-kmod"

  8. この例ではカーネルモジュール simple-kmodkmods-via-containers@.service のインスタンスを作成します。

    $ sudo make install
  9. kmods-via-containers@.service インスタンスを有効にします。

    $ sudo kmods-via-containers build simple-kmod $(uname -r)
  10. systemd サービスを有効にし、起動します。

    1. サービスを有効にします。

      $ sudo systemctl enable kmods-via-containers@simple-kmod.service
    2. サービスを起動します。

      $ sudo systemctl start kmods-via-containers@simple-kmod.service
    3. サービスのステータスを確認します。

      $ sudo systemctl status kmods-via-containers@simple-kmod.service

      出力例

      ● kmods-via-containers@simple-kmod.service - Kmods Via Containers - simple-kmod
         Loaded: loaded (/etc/systemd/system/kmods-via-containers@.service;
                enabled; vendor preset: disabled)
         Active: active (exited) since Sun 2020-01-12 23:49:49 EST; 5s ago...

  11. カーネルモジュールがロードされていることを確認するには、lsmod コマンドを使用してモジュールを一覧表示します。

    $ lsmod | grep simple_

    出力例

    simple_procfs_kmod     16384  0
    simple_kmod            16384  0

  12. オプション。他の方法を使用して simple-kmod のサンプルが機能していることを確認します。

    • dmesg を使ってカーネルリングバッファーで Hello world メッセージを探します。

      $ dmesg | grep 'Hello world'

      出力例

      [ 6420.761332] Hello world from simple_kmod.

    • /procsimple-procfs-kmod の値を確認します。

      $ sudo cat /proc/simple-procfs-kmod

      出力例

      simple-procfs-kmod number = 0

    • spkut コマンドを実行して、モジュールの詳細情報を取得します。

      $ sudo spkut 44

      出力例

      KVC: wrapper simple-kmod for 4.18.0-147.3.1.el8_1.x86_64
      Running userspace wrapper using the kernel module container...
      + podman run -i --rm --privileged
         simple-kmod-dd1a7d4:4.18.0-147.3.1.el8_1.x86_64 spkut 44
      simple-procfs-kmod number = 0
      simple-procfs-kmod number = 44

その後は、システムの起動時に、このサービスは新規カーネルが実行中であるかどうかをチェックします。新規カーネルがある場合は、サービスは新規バージョンのカーネルモジュールをビルドし、これをロードします。モジュールがすでにビルドされている場合は、これをロードします。

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