1.4.2. CPU 使用率のための Horizontal Pod Autoscaler の作成
指定する CPU 使用率を維持するために、オブジェクトに関連付けられた Pod を自動的にスケーリングする既存の DeploymentConfig
または ReplicationController
オブジェクトについて Horizontal Pod Autoscaler (HPA) を作成できます。
HPA は、すべての Pod で指定された CPU 使用率を維持するために、最小数と最大数の間でレプリカ数を増減します。
CPU 使用率について自動スケーリングを行う際に、oc autoscale
コマンドを使用し、実行する必要のある Pod の最小数および最大数と Pod がターゲットとして設定する必要のある平均 CPU 使用率を指定することができます。最小値を指定しない場合、Pod には OpenShift Container Platform サーバーからのデフォルト値が付与されます。特定の CPU 値について自動スケーリングを行うには、ターゲット CPU および Pod の制限のある HorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。
前提条件
Horizontal Pod Autoscaler を使用するには、クラスターの管理者はクラスターメトリクスを適切に設定している必要があります。メトリクスが設定されているかどうかは、oc describe PodMetrics <pod-name>
コマンドを使用して判断できます。メトリクスが設定されている場合、出力は以下の Usage
の下にある Cpu
と Memory
のように表示されます。
$ oc describe PodMetrics openshift-kube-scheduler-ip-10-0-135-131.ec2.internal
出力例
Name: openshift-kube-scheduler-ip-10-0-135-131.ec2.internal Namespace: openshift-kube-scheduler Labels: <none> Annotations: <none> API Version: metrics.k8s.io/v1beta1 Containers: Name: wait-for-host-port Usage: Memory: 0 Name: scheduler Usage: Cpu: 8m Memory: 45440Ki Kind: PodMetrics Metadata: Creation Timestamp: 2019-05-23T18:47:56Z Self Link: /apis/metrics.k8s.io/v1beta1/namespaces/openshift-kube-scheduler/pods/openshift-kube-scheduler-ip-10-0-135-131.ec2.internal Timestamp: 2019-05-23T18:47:56Z Window: 1m0s Events: <none>
手順
CPU 使用率のための Horizontal Pod Autoscaler を作成するには、以下を実行します。
以下のいずれかの手順を実行します。
CPU 使用率のパーセントに基づいてスケーリングするには、既存の
DeploymentConfig
オブジェクトのHorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。$ oc autoscale dc/<dc-name> \1 --min <number> \2 --max <number> \3 --cpu-percent=<percent> 4
CPU 使用率のパーセントに基づいてスケーリングするには、既存のレプリケーションコントローラーの
HorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。$ oc autoscale rc/<rc-name> 1 --min <number> \2 --max <number> \3 --cpu-percent=<percent> 4
特定の CPU 値についてスケーリングするには、既存の
DeploymentConfig
オブジェクトまたはレプリケーションコントローラーについて以下のような YAML ファイルを作成します。以下のような YAML ファイルを作成します。
apiVersion: autoscaling/v2beta2 1 kind: HorizontalPodAutoscaler metadata: name: cpu-autoscale 2 namespace: default spec: scaleTargetRef: apiVersion: v1 3 kind: ReplicationController 4 name: example 5 minReplicas: 1 6 maxReplicas: 10 7 metrics: 8 - type: Resource resource: name: cpu 9 target: type: AverageValue 10 averageValue: 500m 11
- 1
autoscaling/v2beta2
API を使用します。- 2
- この Horizontal Pod Autoscaler オブジェクトの名前を指定します。
- 3
- スケーリングするオブジェクトの API バージョンを指定します。
-
レプリケーションコントローラーについては、
v1
を使用します。 -
DeploymentConfig
オブジェクトについては、apps.openshift.io/v1
を使用します。
-
レプリケーションコントローラーについては、
- 4
- スケーリングするオブジェクトの種類 (
ReplicationController
またはDeploymentConfig
のいずれか) を指定します。 - 5
- スケーリングするオブジェクトの名前を指定します。オブジェクトが存在する必要があります。
- 6
- スケールダウン時のレプリカの最小数を指定します。
- 7
- スケールアップ時のレプリカの最大数を指定します。
- 8
- メモリー使用率に
metrics
パラメーターを使用します。 - 9
- CPU 使用率に
cpu
を指定します。 - 10
AverageValue
に設定します。- 11
- ターゲットに設定された CPU 値で
averageValue
に設定します。
Horizontal Pod Autoscaler を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
Horizontal Pod Autoscaler が作成されていることを確認します。
$ oc get hpa cpu-autoscale
出力例
NAME REFERENCE TARGETS MINPODS MAXPODS REPLICAS AGE cpu-autoscale ReplicationController/example 173m/500m 1 10 1 20m
以下のコマンドは、image-registry
DeploymentConfig
オブジェクトが制御する Pod の 3 から 7 までのレプリカを維持し、すべての Pod で 75% の平均 CPU 使用率を維持する Horizontal Pod Autoscaler を作成します。
$ oc autoscale dc/image-registry --min 3 --max 7 --cpu-percent=75
出力例
deploymentconfig "image-registry" autoscaled
このコマンドは、以下の定義で Horizontal Pod Autoscaler を作成します。
$ oc edit hpa frontend -n openshift-image-registry
出力例
apiVersion: autoscaling/v1 kind: HorizontalPodAutoscaler metadata: creationTimestamp: "2020-02-21T20:19:28Z" name: image-registry namespace: default resourceVersion: "32452" selfLink: /apis/autoscaling/v1/namespaces/default/horizontalpodautoscalers/frontend uid: 1a934a22-925d-431e-813a-d00461ad7521 spec: maxReplicas: 7 minReplicas: 3 scaleTargetRef: apiVersion: apps.openshift.io/v1 kind: DeploymentConfig name: image-registry targetCPUUtilizationPercentage: 75 status: currentReplicas: 5 desiredReplicas: 0
以下の例は、image-registry
DeploymentConfig
オブジェクトの自動スケーリングを示しています。最初のデプロイメントでは 3 つの Pod が必要です。HPA オブジェクトは最小で 5 まで増加され、Pod 上の CPU 使用率が 75% に達すると、Pod を最大 7 まで増やします。
image-registry
デプロイメントの現在の状態を表示します。$ oc get dc image-registry
出力例
NAME REVISION DESIRED CURRENT TRIGGERED BY image-registry 1 3 3 config
image-registry
DeploymentConfig
オブジェクトの自動スケーリングを実行します。$ oc autoscale dc/image-registry --min=5 --max=7 --cpu-percent=75
出力例
horizontalpodautoscaler.autoscaling/image-registry autoscaled
デプロイメントの新しい状態を表示します。
$ oc get dc image-registry
デプロイメントには 5 つの Pod があります。
出力例
NAME REVISION DESIRED CURRENT TRIGGERED BY image-registry 1 5 5 config