6.13. Pod の Disruption Budget (停止状態の予算)


Pod の Disruption Budget について理解し、これを設定します。

6.13.1. Pod の Disruption Budget (停止状態の予算) を使用して起動している Pod の数を指定する方法

Pod 中断バジェット では、メンテナンスのためのノードのドレインなど、運用中の Pod に対する安全制約を指定できます。

PodDisruptionBudget は、同時に起動している必要のあるレプリカの最小数またはパーセンテージを指定する API オブジェクトです。これらをプロジェクトに設定することは、ノードのメンテナンス (クラスターのスケールダウンまたはクラスターのアップグレードなどの実行) 時に役立ち、この設定は (ノードの障害時ではなく) 自発的なエビクションの場合にのみ許可されます。

PodDisruptionBudget オブジェクトの設定は、次の主要な部分で構成されます。

  • 一連の Pod に対するラベルのクエリー機能であるラベルセレクター。
  • 同時に利用可能にする必要のある Pod の最小数を指定する可用性レベル。

    • minAvailable は、中断時にも常に利用可能である必要のある Pod 数です。
    • maxUnavailable は、中断時に利用不可にできる Pod 数です。
注記

Available は、Ready=True の状態にある Pod 数を指します。ready=True は、要求に対応でき、一致するすべてのサービスの負荷分散プールに追加する必要がある Pod を指します。

maxUnavailable0% または 0 あるいは minAvailable100%、ないしはレプリカ数に等しい値は許可されますが、これによりノードがドレイン (解放) されないようにブロックされる可能性があります。

警告

OpenShift Container Platform のすべてのマシン設定プールにおける maxUnavailable のデフォルト設定は 1 です。この値を変更せず、一度に 1 つのコントロールプレーンノードを更新することを推奨します。コントロールプレーンプールのこの値を 3 に変更しないでください。

以下を実行して、Pod の Disruption Budget をすべてのプロジェクトで確認することができます。

$ oc get poddisruptionbudget --all-namespaces
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出力例

NAMESPACE                              NAME                                    MIN AVAILABLE   MAX UNAVAILABLE   ALLOWED DISRUPTIONS   AGE
openshift-apiserver                    openshift-apiserver-pdb                 N/A             1                 1                     121m
openshift-cloud-controller-manager     aws-cloud-controller-manager            1               N/A               1                     125m
openshift-cloud-credential-operator    pod-identity-webhook                    1               N/A               1                     117m
openshift-cluster-csi-drivers          aws-ebs-csi-driver-controller-pdb       N/A             1                 1                     121m
openshift-cluster-storage-operator     csi-snapshot-controller-pdb             N/A             1                 1                     122m
openshift-cluster-storage-operator     csi-snapshot-webhook-pdb                N/A             1                 1                     122m
openshift-console                      console                                 N/A             1                 1                     116m
#...
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PodDisruptionBudget は、最低でも minAvailable Pod がシステムで実行されている場合は正常であるとみなされます。この制限を超えるすべての Pod はエビクションの対象となります。

注記

Pod の優先順位およびプリエンプションの設定に基づいて、優先順位の低い Pod は Pod の Disruption Budget の要件を無視して削除される可能性があります。

6.13.2. Pod の Disruption Budget を使用して起動している Pod 数の指定

同時に起動している必要のあるレプリカの最小数またはパーセンテージは、PodDisruptionBudget オブジェクトを使用して指定します。

手順

Pod の Disruption Budget を設定するには、以下を実行します。

  1. YAML ファイルを以下のようなオブジェクト定義で作成します。

    apiVersion: policy/v1 
    1
    
    kind: PodDisruptionBudget
    metadata:
      name: my-pdb
    spec:
      minAvailable: 2  
    2
    
      selector:  
    3
    
        matchLabels:
          name: my-pod
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    PodDisruptionBudgetpolicy/v1 API グループの一部です。
    2
    同時に利用可能である必要のある Pod の最小数。これには、整数またはパーセンテージ (例: 20%) を指定する文字列を使用できます。
    3
    一連のリソースに対するラベルのクエリー。matchLabelsmatchExpressions の結果は論理的に結合されます。プロジェクト内のすべての Pod を選択するには、このパラメーターを空白のままにします (例: selector {})。

    または、以下を実行します。

    apiVersion: policy/v1 
    1
    
    kind: PodDisruptionBudget
    metadata:
      name: my-pdb
    spec:
      maxUnavailable: 25% 
    2
    
      selector: 
    3
    
        matchLabels:
          name: my-pod
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    1
    PodDisruptionBudgetpolicy/v1 API グループの一部です。
    2
    同時に利用不可にできる Pod の最大数。これには、整数またはパーセンテージ (例: 20%) を指定する文字列を使用できます。
    3
    一連のリソースに対するラベルのクエリー。matchLabelsmatchExpressions の結果は論理的に結合されます。プロジェクト内のすべての Pod を選択するには、このパラメーターを空白のままにします (例: selector {})。
  2. 以下のコマンドを実行してオブジェクトをプロジェクトに追加します。

    $ oc create -f </path/to/file> -n <project_name>
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6.13.3. 正常でない Pod のエビクションポリシーの指定

Pod の Disruption Budget (PDB: 停止状態の予算) を使用して同時に利用可能にする必要のある Pod 数を指定する場合、正常でない Pod がエビクション対象とみなされる条件も定義できます。

以下のポリシーから選択できます。

IfHealthyBudget
正常ではない実行中の Pod は、保護されたアプリケーションが停止されない場合に限りエビクトできます。
AlwaysAllow
正常ではない実行中の Pod は、Pod の Disruption Budget の条件が満たされているかどうかにかかわらずエビクトできます。このポリシーは、Pod が CrashLoopBackOff 状態でスタックしているアプリケーションや Ready ステータスの報告に失敗しているアプリケーションなど、正常に動作しないアプリケーションをエビクトするために使用できます。
重要

Pod の Disruption Budget に対して正常ではない Pod のエビクションポリシーを指定する機能は、テクノロジープレビュー機能としてのみ使用できます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビュー機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行い、フィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

このテクノロジープレビュー機能を使用するには、TechPreviewNoUpgrade 機能セットを有効にする必要があります。

警告

クラスターで TechPreviewNoUpgrade 機能セットを有効にすると、元に戻すことができず、マイナーバージョンの更新が妨げられます。本番クラスターでは、この機能セットを有効にしないでください。

手順

  1. PodDisruptionBudget オブジェクトを定義する YAML ファイルを作成し、正常でない Pod のエビクションポリシーを指定します。

    pod-disruption-budget.yaml ファイルの例

    apiVersion: policy/v1
    kind: PodDisruptionBudget
    metadata:
      name: my-pdb
    spec:
      minAvailable: 2
      selector:
        matchLabels:
          name: my-pod
      unhealthyPodEvictionPolicy: AlwaysAllow 
    1
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    1
    正常でない Pod エビクションポリシーとして IfHealthyBudget または AlwaysAllow のいずれかを選択します。unhealthyPodEvictionPolicy フィールドが空の場合、デフォルトは IfHealthyBudget です。
  2. 以下のコマンドを実行して PodDisruptionBudget オブジェクトを作成します。

    $ oc create -f pod-disruption-budget.yaml
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PDB で正常でない Pod のエビクションポリシーが AlwaysAllow に設定されている場合、ノードをドレイン (解放)、この PDB が保護する正常に動作しないアプリケーションの Pod をエビクトできます。

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