第6章 インストール


6.1. OpenShift Virtualization のクラスターの準備

OpenShift Virtualization をインストールする前にこのセクションを確認して、クラスターが要件を満たしていることを確認してください。

重要

ユーザープロビジョニング、インストーラープロビジョニング、またはアシステッドインストーラーなど、任意のインストール方法を使用して、OpenShift Container Platform をデプロイできます。ただし、インストール方法とクラスタートポロジーは、スナップショットやライブマイグレーションなどの OpenShift Virtualization 機能に影響を与える可能性があります。

IPv6

シングルスタックの IPv6 クラスターで OpenShift Virtualization は実行できません。(BZ#2193267)

6.1.1. ハードウェアとオペレーティングシステムの要件

OpenShift Virtualization の次のハードウェアおよびオペレーティングシステム要件を確認してください。

サポート対象プラットフォーム

重要

AWS ベアメタルインスタンスまたは IBM Cloud Bare Metal Servers への OpenShift Virtualization のインストールは、テクノロジープレビュー機能のみです。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) の対象外であり、機能的に完全ではない場合があります。Red Hat は、実稼働環境でこれらを使用することを推奨していません。テクノロジープレビューの機能は、最新の製品機能をいち早く提供して、開発段階で機能のテストを行いフィードバックを提供していただくことを目的としています。

Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポート範囲に関する詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。

  • 他のクラウドプロバイダーが提供するベアメタルインスタンスまたはサーバーはサポートされていません。

CPU の要件

  • Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 9 でサポート
  • AMD および Intel 64 ビットアーキテクチャー (x86-64-v2) のサポート
  • Intel 64 または AMD64 CPU 拡張機能のサポート
  • Intel VT または AMD-V ハードウェア仮想化拡張機能が有効
  • NX (実行なし) フラグが有効

ストレージ要件

  • OpenShift Container Platform によるサポート
警告

Red Hat OpenShift Data Foundation を使用して OpenShift Virtualization をデプロイする場合は、Windows 仮想マシンディスク用の専用ストレージクラスを作成する必要があります。詳細は 、Windows VM の ODF PersistentVolumes の最適化 を参照してください。

オペレーティングシステム要件

  • ワーカーノードにインストールされた Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS)

    注記

    RHEL ワーカー ノードはサポートされていません。

  • クラスターが CPU の異なるワーカーノードを使用している場合、CPU ごとに能力が異なるため、ライブマイグレーションの失敗が発生する可能性があります。このような失敗を回避するには、各ノードに適切な能力の CPU を使用し、仮想マシンにノードアフィニティーを設定して、移行が成功するようにします。詳細は、必須のノードのアフィニティールールの設定 を参照してください。

関連情報

6.1.2. 物理リソースのオーバーヘッド要件

OpenShift Virtualization は OpenShift Container Platform のアドオンであり、クラスターの計画時に考慮する必要のある追加のオーバーヘッドを強要します。各クラスターマシンは、OpenShift Container Platform の要件に加えて、以下のオーバーヘッドの要件を満たす必要があります。クラスター内の物理リソースを過剰にサブスクライブすると、パフォーマンスに影響する可能性があります。

重要

このドキュメントに記載されている数は、Red Hat のテスト方法およびセットアップに基づいています。これらの数は、独自のセットアップおよび環境に応じて異なります。

6.1.2.1. メモリーのオーバーヘッド

以下の式を使用して、OpenShift Virtualization のメモリーオーバーヘッドの値を計算します。

クラスターメモリーのオーバーヘッド

Memory overhead per infrastructure node ≈ 150 MiB

Memory overhead per worker node ≈ 360 MiB

さらに、OpenShift Virtualization 環境リソースには、すべてのインフラストラクチャーノードに分散される合計 2179 MiB の RAM が必要です。

仮想マシンのメモリーオーバーヘッド

Memory overhead per virtual machine ≈ (1.002 × requested memory) \
              + 218 MiB \ 1
              + 8 MiB × (number of vCPUs) \ 2
              + 16 MiB × (number of graphics devices) \ 3
              + (additional memory overhead) 4

1
virt-launcher Pod で実行されるプロセスに必要です。
2
仮想マシンが要求する仮想 CPU の数。
3
仮想マシンが要求する仮想グラフィックスカードの数。
4
追加のメモリーオーバーヘッド:
  • お使いの環境に Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) ネットワークデバイスまたは Graphics Processing Unit (GPU) が含まれる場合、それぞれのデバイスに 1 GiB の追加のメモリーオーバーヘッドを割り当てます。

6.1.2.2. CPU オーバーヘッド

以下の式を使用して、OpenShift Virtualization のクラスタープロセッサーのオーバーヘッド要件を計算します。仮想マシンごとの CPU オーバーヘッドは、個々の設定によって異なります。

クラスターの CPU オーバーヘッド

CPU overhead for infrastructure nodes ≈ 4 cores

OpenShift Virtualization は、ロギング、ルーティング、およびモニタリングなどのクラスターレベルのサービスの全体的な使用率を増加させます。このワークロードに対応するには、インフラストラクチャーコンポーネントをホストするノードに、4 つの追加コア (4000 ミリコア) の容量があり、これがそれらのノード間に分散されていることを確認します。

CPU overhead for worker nodes ≈ 2 cores + CPU overhead per virtual machine

仮想マシンをホストする各ワーカーノードには、仮想マシンのワークロードに必要な CPU に加えて、OpenShift Virtualization 管理ワークロード用に 2 つの追加コア (2000 ミリコア) の容量が必要です。

仮想マシンの CPU オーバーヘッド

専用の CPU が要求される場合は、仮想マシン 1 台につき CPU 1 つとなり、クラスターの CPU オーバーヘッド要件に影響が出てきます。それ以外の場合は、仮想マシンに必要な CPU の数に関する特別なルールはありません。

6.1.2.3. ストレージのオーバーヘッド

以下のガイドラインを使用して、OpenShift Virtualization 環境のストレージオーバーヘッド要件を見積もります。

クラスターストレージオーバーヘッド

Aggregated storage overhead per node ≈ 10 GiB

10 GiB は、OpenShift Virtualization のインストール時にクラスター内の各ノードに関するディスク上のストレージの予想される影響に相当します。

仮想マシンのストレージオーバーヘッド

仮想マシンごとのストレージオーバーヘッドは、仮想マシン内のリソース割り当ての特定の要求により異なります。この要求は、クラスター内の別の場所でホストされるノードまたはストレージリソースの一時ストレージに対するものである可能性があります。OpenShift Virtualization は現在、実行中のコンテナー自体に追加の一時ストレージを割り当てていません。

6.1.2.4. 例

クラスター管理者が、クラスター内の 10 台の (それぞれ 1 GiB の RAM と 2 つの vCPU の) 仮想マシンをホストする予定の場合、クラスター全体で影響を受けるメモリーは 11.68 GiB になります。クラスターの各ノードについて予想されるディスク上のストレージの影響は 10 GiB で示され、仮想マシンのワークロードをホストするワーカーノードについての CPU の影響は最小 2 コアで示されます。

6.1.3. 仮想マシンディスクのストレージボリュームについて

既知のストレージプロバイダーでストレージ API を使用する場合、ボリュームモードとアクセスモードは自動的に選択されます。ただし、ストレージプロファイルのないストレージクラスを使用する場合は、ボリュームとアクセスモードを選択する必要があります。

accessMode: ReadWriteManyvolumeMode: Block を使用すると、最適な結果を得ることができます。これは、以下の理由により重要です。

  • ライブマイグレーションには ReadWriteMany (RWX) アクセスモードが必要です。
  • Block ボリュームモードは、Filesystem ボリュームモードと比較してパフォーマンスが大幅に向上します。これは、Filesystem ボリュームモードでは、ファイルシステムレイヤーやディスクイメージファイルなどを含め、より多くのストレージレイヤーが使用されるためです。仮想マシンのディスクストレージに、これらのレイヤーは必要ありません。

    たとえば、Red Hat OpenShift Data Foundation を使用する場合は、CephFS ボリュームよりも Ceph RBD ボリュームの方が推奨されます。

    重要

    以下を使用する仮想マシンのライブマイグレーションを行うことはできません。

    • ReadWriteOnce (RWO) アクセスモードのストレージボリューム
    • GPU などのパススルー機能

    それらの仮想マシンの evictionStrategy フィールドを LiveMigrate に設定しないでください。

6.1.4. オブジェクトの最大値

クラスターを計画するときは、次のテスト済みオブジェクトの最大数を考慮する必要があります。

6.1.5. 制限されたネットワーク環境

インターネット接続のない制限された環境に OpenShift Virtualization をインストールする場合は、制限されたネットワーク用に Operator Lifecycle Manager を設定 する必要があります。

インターネット接続が制限されている場合、Operator Lifecycle Manager でプロキシーサポートを設定 して、Red Hat が提供する OperatorHub にアクセスすることができます。

6.1.6. ライブマイグレーション

ライブマイグレーションには次の要件があります。

  • ReadWriteMany (RWX) アクセスモードの共有ストレージ
  • 十分な RAM およびネットワーク帯域幅
  • 仮想マシンがホストモデルの CPU を使用する場合、ノードは仮想マシンのホストモデルの CPU をサポートする必要があります。
注記

ライブマイグレーションを引き起こすノードドレインをサポートするために、クラスター内に十分なメモリーリクエスト容量があることを確認する必要があります。以下の計算を使用して、必要な予備のメモリーを把握できます。

Product of (Maximum number of nodes that can drain in parallel) and (Highest total VM memory request allocations across nodes)

クラスターで 並行して実行できるデフォルトの移行数 は 5 です。

6.1.7. クラスターの高可用性オプション

クラスターには、次の高可用性 (HA) オプションのいずれかを設定できます。

  • installer-provisioned infrastructure (IPI) の自動高可用性は、マシンヘルスチェック をデプロイすることで利用できます。

    注記

    インストーラーでプロビジョニングされるインフラストラクチャーを使用してインストールされ、MachineHealthCheck が適切に設定された OpenShift Container Platform クラスターで、ノードで MachineHealthCheck が失敗し、クラスターで利用できなくなると、そのノードは再利用されます。障害が発生したノードで実行された仮想マシンでは、一連の条件によって次に起こる動作が変わります。潜在的な結果と RunStrategy がそれらの結果にどのように影響するかについての詳細情報は、仮想マシンの RunStrategy について を参照してください。

  • IPI と非 IPI の両方の自動高可用性は、OpenShift Container Platform クラスターで Node Health Check Operator を使用して NodeHealthCheck コントローラーをデプロイすることで利用できます。コントローラーは異常なノードを特定し、Self Node Remediation Operator や Fence Agents Remediation Operator などの修復プロバイダーを使用して異常なノードを修復します。ノードの修復、フェンシング、メンテナンスの詳細は、Red Hat OpenShift のワークロードの可用性 を参照してください。
  • モニタリングシステムまたは有資格者を使用してノードの可用性をモニターすることにより、あらゆるプラットフォームの高可用性を利用できます。ノードが失われた場合は、これをシャットダウンして oc delete node <lost_node> を実行します。

    注記

    外部モニタリングシステムまたは資格のある人材によるノードの正常性の監視が行われない場合、仮想マシンは高可用性を失います。

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