8.2. ビルドフック
ビルドフックを使用すると、ビルドプロセスに動作を挿入できます。
BuildConfig
オブジェクトの postCommit
フィールドにより、ビルドアウトプットイメージを実行する一時的なコンテナー内でコマンドが実行されます。イメージの最後の層がコミットされた直後、かつイメージがレジストリーにプッシュされる前に、フックが実行されます。
現在の作業ディレクトリーは、イメージの WORKDIR
に設定され、コンテナーイメージのデフォルトの作業ディレクトリーになります。多くのイメージでは、ここにソースコードが配置されます。
ゼロ以外の終了コードが返された場合、一時コンテナーの起動に失敗した場合には、フックが失敗します。フックが失敗すると、ビルドに失敗とマークされ、このイメージはレジストリーにプッシュされません。失敗の理由は、ビルドログを参照して検証できます。
ビルドフックは、ビルドが完了とマークされ、イメージがレジストリーに公開される前に、単体テストを実行してイメージを検証するために使用できます。すべてのテストに合格し、テストランナーにより終了コード 0
が返されると、ビルドは成功とマークされます。テストに失敗すると、ビルドは失敗とマークされます。すべての場合に、ビルドログにはテストランナーの出力が含まれるので、失敗したテストを特定するのに使用できます。
postCommit
フックは、テストの実行だけでなく、他のコマンドにも使用できます。一時的なコンテナーで実行されるので、フックによる変更は永続されず、フックの実行は最終的なイメージには影響がありません。この動作はさまざまな用途がありますが、これにより、テストの依存関係がインストール、使用されて、自動的に破棄され、最終イメージには残らないようにすることができます。
8.2.1. コミット後のビルドフックの設定
ビルド後のフックを設定する方法は複数あります。以下の例に出てくるすべての形式は同等で、bundle exec rake test --verbose
を実行します。
手順
シェルスクリプト:
postCommit: script: "bundle exec rake test --verbose"
script
の値は、/bin/sh -ic
で実行するシェルスクリプトです。上記のように単体テストを実行する場合など、シェルスクリプトがビルドフックの実行に適している場合に、これを使用します。たとえば、上記のユニットテストを実行する場合などです。イメージのエントリーポイントを制御するか、イメージに/bin/sh
がない場合は、command
および/またはargs
を使用します。注記CentOS や RHEL イメージでの作業を改善するために、追加で
-i
フラグが導入されましたが、今後のリリースで削除される可能性があります。イメージエントリーポイントとしてのコマンド:
postCommit: command: ["/bin/bash", "-c", "bundle exec rake test --verbose"]
この形式では
command
は実行するコマンドで、Dockerfile 参照 に記載されている、実行形式のイメージエントリーポイントを上書きします。Command は、イメージに/bin/sh
がない、またはシェルを使用しない場合に必要です。他の場合は、script
を使用することが便利な方法になります。引数のあるコマンド:
postCommit: command: ["bundle", "exec", "rake", "test"] args: ["--verbose"]
この形式は
command
に引数を追加するのと同じです。
script
と command
を同時に指定すると、無効なビルドフックが作成されてしまいます。