第11章 ルーティングの最適化
OpenShift Container Platform HAProxy ルーターは、パフォーマンスを最適化するためにスケーリングします。
11.1. ベースライン Ingress コントローラー (ルーター) のパフォーマンス
OpenShift Container Platform Ingress コントローラーまたはルーターは、宛先が OpenShift Container Platform サービスのすべての外部トラフィックに対する Ingress ポイントです。
1 秒に処理される HTTP 要求について、単一の HAProxy ルーターを評価する場合に、パフォーマンスは多くの要因により左右されます。特に以下が含まれます。
- HTTP keep-alive/close モード
- ルートタイプ
- TLS セッション再開のクライアントサポート
- ターゲットルートごとの同時接続数
- ターゲットルート数
- バックエンドサーバーのページサイズ
- 基礎となるインフラストラクチャー (ネットワーク/SDN ソリューション、CPU など)
特定の環境でのパフォーマンスは異なりますが、Red Hat ラボはサイズが 4 vCPU/16GB RAM のパブリッククラウドインスタンスでテストしています。1kB 静的ページを提供するバックエンドで終端する 100 ルートを処理する単一の HAProxy ルーターは、1 秒あたりに以下の数のトランザクションを処理できます。
HTTP keep-alive モードのシナリオの場合:
暗号化 | LoadBalancerService | HostNetwork |
---|---|---|
なし | 21515 | 29622 |
edge | 16743 | 22913 |
passthrough | 36786 | 53295 |
re-encrypt | 21583 | 25198 |
HTTP close (keep-alive なし) のシナリオの場合:
暗号化 | LoadBalancerService | HostNetwork |
---|---|---|
なし | 5719 | 8273 |
edge | 2729 | 4069 |
passthrough | 4121 | 5344 |
re-encrypt | 2320 | 2941 |
ROUTER_THREADS=4
が設定されたデフォルトの Ingress コントローラー設定が使用され、2 つの異なるエンドポイントの公開ストラテジー (LoadBalancerService/HostNetwork) がテストされています。TLS セッション再開は暗号化ルートについて使用されています。HTTP keep-alive の場合は、単一の HAProxy ルーターがページサイズが 8kB でも、1 Gbit の NIC を飽和させることができます。
最新のプロセッサーが搭載されたベアメタルで実行する場合は、上記のパブリッククラウドインスタンスのパフォーマンスの約 2 倍のパフォーマンスになることを予想できます。このオーバーヘッドは、パブリッククラウドにある仮想化層により発生し、プライベートクラウドベースの仮想化にも多くの場合、該当します。以下の表は、ルーターの背後で使用するアプリケーション数についてのガイドです。
アプリケーション数 | アプリケーションタイプ |
---|---|
5-10 | 静的なファイル/Web サーバーまたはキャッシュプロキシー |
100-1000 | 動的なコンテンツを生成するアプリケーション |
通常、HAProxy は、使用されるて技術に応じて 5 から 1000 のアプリケーションのルーターをサポートします。Ingress コントローラーのパフォーマンスは、言語や静的コンテンツと動的コンテンツの違いを含め、その背後にあるアプリケーションの機能およびパフォーマンスによって制限される可能性があります。
Ingress またはルーターのシャード化は、アプリケーションに対してより多くのルートを提供するために使用され、ルーティング層の水平スケーリングに役立ちます。
Ingress のシャード化についての詳細は、ルートラベルを使用した Ingress コントローラーのシャード化の設定 および namespace ラベルを使用した Ingress コントローラーのシャード化の設定 を参照してください。