2.7.2. カスタム VPC の使用について
OpenShift Container Platform 4.6 では、Amazon Web Services (AWS) の既存 Amazon Virtual Private Cloud (VPC) の既存のサブネットにクラスターをデプロイできます。OpenShift Container Platform を既存の AWS VPC にデプロイすると、新規アカウントの制限を回避したり、会社のガイドラインによる運用上の制約をより容易に遵守することが可能になる場合があります。VPC を作成するために必要なインフラストラクチャーの作成パーミッションを取得できない場合は、このインストールオプションを使用します。
インストールプログラムは既存のサブネットにある他のコンポーネントを把握できないため、ユーザーの代わりにサブネットの CIDR を選択することはできません。クラスターをインストールするサブネットのネットワークを独自に設定する必要があります。
2.7.2.1. VPC を使用するための要件
インストールプログラムは、以下のコンポーネントを作成しなくなりました。
- インターネットゲートウェイ
- NAT ゲートウェイ
- サブネット
- ルートテーブル
- VPC
- VPC DHCP オプション
- VPC エンドポイント
インストールプログラムでは、クラウド提供の DNS サーバーを使用する必要があります。カスタム DNS サーバーの使用はサポートされていないため、インストールが失敗します。
カスタム VPC を使用する場合は、そのカスタム VPC と使用するインストールプログラムおよびクラスターのサブネットを適切に設定する必要があります。AWS VPC の作成と管理の詳細は、AWS ドキュメントの Amazon VPC コンソールウィザードの設定 と VPC とサブネットの操作 を参照してください。
インストールプログラムには、以下の機能はありません。
- 使用するクラスターのネットワーク範囲を細分化する。
- サブネットのルートテーブルを設定する。
- DHCP などの VPC オプションを設定する。
クラスターをインストールする前に、以下のタスクを完了する必要があります。AWS VPC でのネットワーキングの設定の詳細は、 VPC ネットワーキングコンポーネント と VPC のルートテーブル を参照してください。
VPC は以下の特性を満たす必要があります。
クラスターが使用するアベイラビリティーゾーンごとにパブリックサブネットとプライベートサブネットを作成します。それぞれのアベイラビリティーゾーンには、複数のパブリックおよびプライベートサブネットがありません。このタイプの設定の例は、AWS ドキュメントの パブリックサブネットとプライベートサブネット (NAT) を使用した VPC を参照してください。
各サブネット ID を記録します。インストールを完了するには、
install-config.yaml
ファイルのプラットフォーム
セクションにこれらの値を入力する必要があります。AWS ドキュメントの サブネット ID の検索 を参照してください。-
VPC の CIDR ブロックには、クラスターマシンの IP アドレスプールである
Networking.MachineCIDR
範囲が含まれている必要があります。サブネット CIDR ブロックは、指定したマシン CIDR に属している必要があります。 VPC には、パブリックインターネットゲートウェイが接続されている必要があります。アベイラビリティーゾーンごとに以下が必要です。
- パブリックサブネットには、インターネットゲートウェイへのルートが必要です。
- パブリックサブネットには、EIP アドレスが割り当てられた NAT ゲートウェイが必要です。
- プライベートサブネットには、パブリックサブネットの NAT ゲートウェイへのルートが必要です。
VPC は
kubernetes.io/cluster/.*: owned
タグを使用できません。インストールプログラムは
kubernetes.io/cluster/.*: shared
タグを追加するようにサブネットを変更するため、サブネットでは 1 つ以上の空のタグスロットが利用可能である必要があります。AWS ドキュメントで タグ制限 を確認し、インストールプログラムでタグを指定する各サブネットに追加できるようにします。VPC で
enableDnsSupport
およびenableDnsHostnames
属性を有効にし、クラスターが VPC に割り当てられている Route 53 ゾーンを使用してクラスターの内部 DNS レコードを解決できるようにする必要があります。AWS ドキュメントの DNS Support in Your VPC を参照してください。独自の Route 53 ホストプライベートゾーンを使用する場合、クラスターのインストール前に既存のホストゾーンを VPC に関連付ける必要があります。ホストゾーンは、
install-config.yaml
ファイルのplatform.aws.hostedZone
フィールドを使用して定義できます。
非接続環境で作業している場合、EC2 および ELB エンドポイントのパブリック IP アドレスに到達することはできません。これを解決するには、VPC エンドポイントを作成し、これをクラスターが使用するサブネットに割り当てる必要があります。エンドポイントの名前は以下のように指定する必要があります。
-
ec2.<region>.amazonaws.com
-
elasticloadbalancing.<region>.amazonaws.com
-
s3.<region>.amazonaws.com
必要な VPC コンポーネント
お使いのマシンとの通信を可能にする適切な VPC およびサブネットを指定する必要があります。
コンポーネント | AWS タイプ | 説明 | |
---|---|---|---|
VPC |
| 使用するクラスターのパブリック VPC を指定する必要があります。VPC は、各サブネットのルートテーブルを参照するエンドポイントを使用して、S3 でホストされているレジストリーとの通信を強化します。 | |
パブリックサブネット |
| VPC には 1 から 3 のアベイラビリティーゾーンのパブリックサブネットが必要であり、それらを適切な Ingress ルールに関連付ける必要があります。 | |
インターネットゲートウェイ |
| VPC に割り当てられたパブリックルートを持つパブリックインターネットゲートウェイが必要です。提供されるテンプレートでは、各パブリックサブネットに EIP アドレスと NAT ゲートウェイがあります。これらの NAT ゲートウェイは、プライベートサブネットインスタンスなどのクラスターリソースがインターネットに到達できるようにするもので、一部のネットワークが制限された環境またはプロキシーのシナリオでは必要ありません。 | |
ネットワークアクセス制御 |
| VPC が以下のポートにアクセスできるようにする必要があります。 | |
ポート | 理由 | ||
| インバウンド HTTP トラフィック | ||
| インバウンド HTTPS トラフィック | ||
| インバウンド SSH トラフィック | ||
| インバウンド一時 (ephemeral) トラフィック | ||
| アウトバウンド一時 (ephemeral) トラフィック | ||
プライベートサブネット |
| VPC にはプライベートサブネットを使用できます。提供される CloudFormation テンプレートは 1 から 3 アベイラビリティーゾーンのプライベートサブネットを作成できます。プライベートサブネットを使用できる場合は、それらの適切なルートおよびテーブルを指定する必要があります。 |