第15章 ルートの作成


15.1. ルート設定

15.1.1. HTTP ベースのルートの作成

ルートを使用すると、公開された URL でアプリケーションをホストできます。これは、アプリケーションのネットワークセキュリティー設定に応じて、セキュリティー保護または保護なしを指定できます。HTTP ベースのルートとは、セキュアではないルートで、基本的な HTTP ルーティングプロトコルを使用してセキュリティー保護されていないアプリケーションポートでサービスを公開します。

以下の手順では、hello-openshift アプリケーションを例に、Web アプリケーションへのシンプルな HTTP ベースのルートを作成する方法を説明します。

前提条件

  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。
  • 管理者としてログインしている。
  • あるポートを公開する Web アプリケーションと、そのポートでトラフィックをリッスンする TCP エンドポイントがあります。

手順

  1. 次のコマンドを実行して、hello-openshift というプロジェクトを作成します。

    $ oc new-project hello-openshift
  2. 以下のコマンドを実行してプロジェクトに Pod を作成します。

    $ oc create -f https://raw.githubusercontent.com/openshift/origin/master/examples/hello-openshift/hello-pod.json
  3. 以下のコマンドを実行して、hello-openshift というサービスを作成します。

    $ oc expose pod/hello-openshift
  4. 次のコマンドを実行して、hello-openshift アプリケーションに対して、セキュアではないルートを作成します。

    $ oc expose svc hello-openshift

    結果として生成される Route リソースを検査すると、以下のようになります。

    上記で作成されたセキュアでないルートの YAML 定義

    apiVersion: route.openshift.io/v1
    kind: Route
    metadata:
      name: hello-openshift
    spec:
      host: hello-openshift-hello-openshift.<Ingress_Domain> 1
      port:
        targetPort: 8080
      to:
        kind: Service
        name: hello-openshift

    1
    &lt;Ingress_Domain&gt; はデフォルトの Ingress ドメイン名です。
    注記

    デフォルトの ingress ドメインを表示するには、以下のコマンドを実行します。

    $ oc get ingresses.config/cluster -o jsonpath={.spec.domain}

15.1.2. ルートのタイムアウトの設定

Service Level Availability (SLA) で必要とされる、低タイムアウトが必要なサービスや、バックエンドでの処理速度が遅いケースで高タイムアウトが必要なサービスがある場合は、既存のルートに対してデフォルトのタイムアウトを設定することができます。

前提条件

  • 実行中のクラスターでデプロイ済みの Ingress コントローラーが必要になります。

手順

  1. oc annotate コマンドを使用して、ルートにタイムアウトを追加します。

    $ oc annotate route <route_name> \
        --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=<timeout><time_unit> 1
    1
    サポートされる時間単位は、マイクロ秒 (us)、ミリ秒 (ms)、秒 (s)、分 (m)、時間 (h)、または日 (d) です。

    以下の例では、2 秒のタイムアウトを myroute という名前のルートに設定します。

    $ oc annotate route myroute --overwrite haproxy.router.openshift.io/timeout=2s

15.1.3. HTTP Strict Transport Security の有効化

HTTP Strict Transport Security (HSTS) ポリシーは、ホストで HTTPS トラフィックのみを許可するセキュリティーの拡張機能です。デフォルトで、すべての HTTP 要求はドロップされます。これは、web サイトとの対話の安全性を確保したり、ユーザーのためにセキュアなアプリケーションを提供するのに役立ちます。

HSTS が有効にされると、HSTS はサイトから Strict Transport Security ヘッダーを HTTPS 応答に追加します。リダイレクトするルートで insecureEdgeTerminationPolicy 値を使用し、HTTP を HTTPS に送信するようにします。ただし、HSTS が有効にされている場合は、要求の送信前にクライアントがすべての要求を HTTP URL から HTTPS に変更するためにリダイレクトの必要がなくなります。これはクライアントでサポートされる必要はなく、max-age=0 を設定することで無効にできます。

重要

HSTS はセキュアなルート (edge termination または re-encrypt) でのみ機能します。この設定は、HTTP またはパススルールートには適していません。

手順

  • ルートに対して HSTS を有効にするには、haproxy.router.openshift.io/hsts_header 値を edge termination または re-encrypt ルートに追加します。

    apiVersion: v1
    kind: Route
    metadata:
      annotations:
        haproxy.router.openshift.io/hsts_header: max-age=31536000;includeSubDomains;preload 1 2 3
    1
    max-age は唯一の必須パラメーターです。これは、HSTS ポリシーが有効な期間 (秒単位) を測定します。クライアントは、ホストから HSTS ヘッダーのある応答を受信する際には常に max-age を更新します。max-age がタイムアウトになると、クライアントはポリシーを破棄します。
    2
    includeSubDomains はオプションです。これが含まれる場合、クライアントに対し、ホストのすべてのサブドメインがホストと同様に処理されるように指示します。
    3
    preload はオプションです。max-age が 0 より大きい場合、preloadhaproxy.router.openshift.io/hsts_header に組み込むことにより、外部サービスはこのサイトをそれぞれの HSTS プリロード一覧に含めることができます。たとえば、Google などのサイトは preload が設定されているサイトの一覧を作成します。ブラウザーはこれらの一覧を使用し、サイトと対話する前でも HTTPS 経由で通信できるサイトを判別できます。preload 設定がない場合、ブラウザーはヘッダーを取得するために HTTPS 経由でサイトと通信している必要があります。

15.1.4. スループット関連の問題のトラブルシューティング

OpenShift Container Platform でデプロイされるアプリケーションでは、特定のサービス間で非常に長い待ち時間が発生するなど、ネットワークのスループットの問題が生じることがあります。

Pod のログが問題の原因を指摘しない場合は、以下の方法を使用してパフォーマンスの問題を分析します。

  • ping または tcpdump などのパケットアナライザーを使用して Pod とそのノード間のトラフィックを分析します。

    たとえば、問題を生じさせる動作を再現している間に各 Pod で tcpdump ツールを実行します。両サイトでキャプチャーしたデータを確認し、送信および受信タイムスタンプを比較して Pod への/からのトラフィックの待ち時間を分析します。待ち時間は、ノードのインターフェイスが他の Pod やストレージデバイス、またはデータプレーンからのトラフィックでオーバーロードする場合に OpenShift Container Platform で発生する可能性があります。

    $ tcpdump -s 0 -i any -w /tmp/dump.pcap host <podip 1> && host <podip 2> 1
    1
    podip は Pod の IP アドレスです。oc get pod <pod_name> -o wide コマンドを実行して Pod の IP アドレスを取得します。

    tcpdump は 2 つの Pod 間のすべてのトラフィックが含まれる /tmp/dump.pcap のファイルを生成します。理想的には、ファイルサイズを最小限に抑えるために問題を再現するすぐ前と問題を再現したすぐ後ににアナライザーを実行することが良いでしょう。以下のようにノード間でパケットアナライザーを実行することもできます (式から SDN を排除する)。

    $ tcpdump -s 0 -i any -w /tmp/dump.pcap port 4789
  • ストリーミングのスループットおよび UDP スループットを測定するために iperf などの帯域幅測定ツールを使用します。ボトルネックの特定を試行するには、最初に Pod から、次にノードからツールを実行します。

15.1.5. Cookie に使用によるルートのステートフル性の維持

OpenShift Container Platform は、すべてのトラフィックを同じエンドポイントにヒットさせることによりステートフルなアプリケーションのトラフィックを可能にするスティッキーセッションを提供します。ただし、エンドポイント Pod が再起動、スケーリング、または設定の変更などによって終了する場合、このステートフル性はなくなります。

OpenShift Container Platform は Cookie を使用してセッションの永続化を設定できます。Ingress コントローラーはユーザー要求を処理するエンドポイントを選択し、そのセッションの Cookie を作成します。Cookie は要求の応答として戻され、ユーザーは Cookie をセッションの次の要求と共に送り返します。Cookie は Ingress コントローラーに対し、セッションを処理しているエンドポイントを示し、クライアント要求が Cookie を使用して同じ Pod にルーティングされるようにします。

注記

cookie は、HTTP トラフィックを表示できないので、パススルールートで設定できません。代わりに、ソース IP アドレスをベースに数が計算され、バックエンドを判断します。

バックエンドが変わると、トラフィックが間違ったサーバーに転送されてしまい、スティッキーではなくなります。ソース IP を非表示にするロードバランサーを使用している場合は、すべての接続に同じ番号が設定され、トラフィックは同じ Pod に送られます。

15.1.6. パスベースのルート

パスベースのルートは、URL に対して比較できるパスコンポーネントを指定します。この場合、ルートのトラフィックは HTTP ベースである必要があります。そのため、それぞれが異なるパスを持つ同じホスト名を使用して複数のルートを提供できます。ルーターは、最も具体的なパスの順に基づいてルートと一致する必要があります。ただし、これはルーターの実装によって異なります。

以下の表は、ルートのサンプルおよびそれらのアクセシビリティーを示しています。

表15.1 ルートの可用性
ルート比較対象アクセス可能

www.example.com/test

www.example.com/test

はい

www.example.com

いいえ

www.example.com/test および www.example.com

www.example.com/test

はい

www.example.com

はい

www.example.com

www.example.com/text

Yes (ルートではなく、ホストで一致)

www.example.com

はい

パスが 1 つでセキュリティー保護されていないルート

apiVersion: v1
kind: Route
metadata:
  name: route-unsecured
spec:
  host: www.example.com
  path: "/test" 1
  to:
    kind: Service
    name: service-name

1
パスは、パスベースのルートに唯一追加される属性です。
注記

ルーターは TLS を終了させず、要求のコンテンツを読み込みことができないので、パスベースのルーティングは、パススルー TLS を使用する場合には利用できません。

15.1.7. ルート固有のアノテーション

Ingress コントローラーは、公開するすべてのルートのデフォルトオプションを設定できます。個別のルートは、アノテーションに個別の設定を指定して、デフォルトの一部を上書きできます。Red Hat では、ルートアノテーションの Operator 管理ルートへの追加はサポートしません。

重要

複数のソース IP またはサブネットのホワイトリストを作成するには、スペースで区切られたリストを使用します。他の区切りタイプを使用すると、一覧が警告やエラーメッセージなしに無視されます。

表15.2 ルートアノテーション
変数説明デフォルトで使用される環境変数

haproxy.router.openshift.io/balance

ロードバランシングアルゴリズムを設定します。使用できるオプションは sourceroundrobin、および leastconn です。

パススルールートの ROUTER_TCP_BALANCE_SCHEME です。それ以外の場合は ROUTER_LOAD_BALANCE_ALGORITHM を使用します。

haproxy.router.openshift.io/disable_cookies

関連の接続を追跡する cookie の使用を無効にします。true または TRUE に設定する場合は、分散アルゴリズムを使用して、受信する HTTP 要求ごとに、どのバックエンドが接続を提供するかを選択します。

 

router.openshift.io/cookie_name

このルートに使用するオプションの cookie を指定します。名前は、大文字、小文字、数字、"_" または "-" を任意に組み合わせて指定する必要があります。デフォルトは、ルートのハッシュ化された内部キー名です。

 

haproxy.router.openshift.io/pod-concurrent-connections

ルーターからバッキングされる Pod に対して許容される接続最大数を設定します。
注意: Pod が複数ある場合には、それぞれに対応する接続数を設定できます。複数のルーターがある場合は、それらのルーター間で調整は行われず、それぞれがこれに複数回接続する可能性があります。設定されていない場合または 0 に設定されている場合には制限はありません。

 

haproxy.router.openshift.io/rate-limit-connections

true または TRUE を設定すると、ルートごとに特定のバックエンドの stick-tables で実装されるレート制限機能が有効になります。
注記: このアノテーションを使用すると、DDoS (Distributed Denial-of-service) 攻撃に対する基本的な保護機能が提供されます。

 

haproxy.router.openshift.io/rate-limit-connections.concurrent-tcp

同じソース IP アドレスで行われる同時 TCP 接続の数を制限します。数値を受け入れます。
注記: このアノテーションを使用すると、DDoS (Distributed Denial-of-service) 攻撃に対する基本的な保護機能が提供されます。

 

haproxy.router.openshift.io/rate-limit-connections.rate-http

同じソース IP アドレスを持つクライアントが HTTP 要求を実行できるレートを制限します。数値を受け入れます。
注記: このアノテーションを使用すると、DDoS (Distributed Denial-of-service) 攻撃に対する基本的な保護機能が提供されます。

 

haproxy.router.openshift.io/rate-limit-connections.rate-tcp

同じソース IP アドレスを持つクライアントが TCP 接続を確立するレートを制限します。数値を受け入れます。
注記: このアノテーションを使用すると、DDoS (Distributed Denial-of-service) 攻撃に対する基本的な保護機能が提供されます。

 

haproxy.router.openshift.io/timeout

ルートのサーバー側のタイムアウトを設定します。(TimeUnits)

ROUTER_DEFAULT_SERVER_TIMEOUT

haproxy.router.openshift.io/timeout-tunnel

このタイムアウトは、クリアテキスト、エッジ、再暗号化、またはパススルーのルートを介した Web Socket などトンネル接続に適用されます。cleartext、edge、または reencrypt のルートタイプでは、このアノテーションは、タイムアウト値がすでに存在するタイムアウトトンネルとして適用されます。パススルーのルートタイプでは、アノテーションは既存のタイムアウト値の設定よりも優先されます。

ROUTER_DEFAULT_TUNNEL_TIMEOUT

ingresses.config/cluster ingress.operator.openshift.io/hard-stop-after

設定できるのは、Ingress Controller または ingress config です。このアノテーションでは、ルーターを再デプロイし、HA プロキシーが haproxyhard-stop-after グローバルオプションを実行するように設定します。このオプションは、クリーンなソフトストップ実行で最大許容される時間を定義します。

ROUTER_HARD_STOP_AFTER

router.openshift.io/haproxy.health.check.interval

バックエンドのヘルスチェックの間隔を設定します。(TimeUnits)

ROUTER_BACKEND_CHECK_INTERVAL

haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist

ルートのホワイトリストを設定します。ホワイトリストは、承認したソースアドレスの IP アドレスおよび CIDR 範囲の一覧をスペース区切りにします。ホワイトリストに含まれていない IP アドレスからの要求は破棄されます。

ホワイトリストの許可される IP アドレスおよび CIDR 範囲の最大数は 61 です。

 

haproxy.router.openshift.io/hsts_header

edge terminated または re-encrypt ルートの Strick-Transport-Security ヘッダーを設定します。

 

haproxy.router.openshift.io/log-send-hostname

Syslog ヘッダーの hostname フィールドを設定します。システムのホスト名を使用します。サイドカーや Syslog ファシリティーなどの Ingress API ロギングメソッドがルーターに対して有効になっている場合、log-send-hostname はデフォルトで有効になります。

 

haproxy.router.openshift.io/rewrite-target

バックエンドの要求の書き換えパスを設定します。

 

router.openshift.io/cookie-same-site

Cookie を制限するために値を設定します。値は以下のようになります。

Lax: Cookie はアクセスしたサイトとサードパーティーのサイト間で転送されます。

Strict: Cookie はアクセスしたサイトに制限されます。

None: Cookie はアクセスしたサイトに制限されます。

この値は、re-encrypt および edge ルートにのみ適用されます。詳細は、SameSite cookie のドキュメント を参照してください。

 

haproxy.router.openshift.io/set-forwarded-headers

ルートごとに Forwarded および X-Forwarded-For HTTP ヘッダーを処理するポリシーを設定します。値は以下のようになります。

append: ヘッダーを追加し、既存のヘッダーを保持します。これはデフォルト値です。

Replace: ヘッダーを設定し、既存のヘッダーを削除します。

never: ヘッダーを設定しませんが、既存のヘッダーを保持します。

if-none: ヘッダーがまだ設定されていない場合にこれを設定します。

ROUTER_SET_FORWARDED_HEADERS

注記

環境変数を編集することはできません。

ルータータイムアウト変数

TimeUnits は数字、その後に単位を指定して表現します。 us *(マイクロ秒)、ms (ミリ秒、デフォルト)、s (秒)、m (分)、h *(時間)、d (日)

正規表現: [1-9][0-9]*(us\|ms\|s\|m\|h\|d)

変数デフォルト説明

ROUTER_BACKEND_CHECK_INTERVAL

5000ms

バックエンドでの後続の liveness チェックの時間の長さ。

ROUTER_CLIENT_FIN_TIMEOUT

1s

クライアントがルートに接続する場合の TCP FIN タイムアウトの期間を制御します。接続切断のために送信された FIN が指定の時間内に応答されない場合は、HAProxy が接続を切断します。小さい値を設定し、ルーターでリソースをあまり使用していない場合には、リスクはありません。

ROUTER_DEFAULT_CLIENT_TIMEOUT

30s

クライアントがデータを確認するか、送信するための時間の長さ。

ROUTER_DEFAULT_CONNECT_TIMEOUT

5s

最大接続時間。

ROUTER_DEFAULT_SERVER_FIN_TIMEOUT

1s

ルーターからルートをバッキングする Pod の TCP FIN タイムアウトを制御します。

ROUTER_DEFAULT_SERVER_TIMEOUT

30s

サーバーがデータを確認するか、送信するための時間の長さ。

ROUTER_DEFAULT_TUNNEL_TIMEOUT

1h

TCP または WebSocket 接続が開放された状態で保つ時間数。このタイムアウト期間は、HAProxy が再読み込みされるたびにリセットされます。

ROUTER_SLOWLORIS_HTTP_KEEPALIVE

300s

新しい HTTP 要求が表示されるまで待機する最大時間を設定します。この値が低すぎる場合には、ブラウザーおよびアプリケーションの keepalive 値が低くなりすぎて、問題が発生する可能性があります。

有効なタイムアウト値には、想定した個別のタイムアウトではなく、特定の変数を合計した値に指定することができます。たとえば、ROUTER_SLOWLORIS_HTTP_KEEPALIVE は、timeout http-keep-alive を調整します。HAProxy はデフォルトで 300s に設定されていますが、HAProxy は tcp-request inspect-delay も待機します。これは 5s に設定されています。この場合、全体的なタイムアウトは 300s5s を加えたことになります。

ROUTER_SLOWLORIS_TIMEOUT

10s

HTTP 要求の伝送にかかる時間。

RELOAD_INTERVAL

5s

ルーターがリロードし、新規の変更を受け入れる最小の頻度を許可します。

ROUTER_METRICS_HAPROXY_TIMEOUT

5s

HAProxy メトリクスの収集タイムアウト。

ルート設定のカスタムタイムアウト

apiVersion: v1
kind: Route
metadata:
  annotations:
    haproxy.router.openshift.io/timeout: 5500ms 1
...

1
HAProxy 対応の単位 (usmssmhd) で新規のタイムアウトを指定します。単位が指定されていない場合は、ms がデフォルトになります。
注記

パススルールートのサーバー側のタイムアウト値を低く設定し過ぎると、WebSocket 接続がそのルートで頻繁にタイムアウトする可能性があります。

特定の IP アドレスを 1 つだけ許可するルート

metadata:
  annotations:
    haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 192.168.1.10

複数の IP アドレスを許可するルート

metadata:
  annotations:
    haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 192.168.1.10 192.168.1.11 192.168.1.12

IP アドレスの CIDR ネットワークを許可するルート

metadata:
  annotations:
    haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 192.168.1.0/24

IP アドレスと IP アドレスの CIDR ネットワークの両方を許可するルート

metadata:
  annotations:
    haproxy.router.openshift.io/ip_whitelist: 180.5.61.153 192.168.1.0/24 10.0.0.0/8

書き換えターゲットを指定するルート

apiVersion: v1
kind: Route
metadata:
  annotations:
    haproxy.router.openshift.io/rewrite-target: / 1
...

1
バックエンドの要求の書き換えパスとして / を設定します。

ルートに haproxy.router.openshift.io/rewrite-target アノテーションを設定すると、要求をバックエンドアプリケーションに転送する前に Ingress コントローラーがこのルートを使用して HTTP 要求のパスを書き換える必要があることを指定します。spec.path で指定されたパスに一致する要求パスの一部は、アノテーションで指定された書き換えターゲットに置き換えられます。

以下の表は、spec.path、要求パス、および書き換えターゲットの各種の組み合わせについてのパスの書き換え動作の例を示しています。

表15.3 rewrite-target の例:
Route.spec.path要求パス書き換えターゲット転送された要求パス

/foo

/foo

/

/

/foo

/foo/

/

/

/foo

/foo/bar

/

/bar

/foo

/foo/bar/

/

/bar/

/foo

/foo

/bar

/bar

/foo

/foo/

/bar

/bar/

/foo

/foo/bar

/baz

/baz/bar

/foo

/foo/bar/

/baz

/baz/bar/

/foo/

/foo

/

該当なし (要求パスがルートパスに一致しない)

/foo/

/foo/

/

/

/foo/

/foo/bar

/

/bar

15.1.8. ルートの受付ポリシーの設定

管理者およびアプリケーション開発者は、同じドメイン名を持つ複数の namespace でアプリケーションを実行できます。これは、複数のチームが同じホスト名で公開されるマイクロサービスを開発する組織を対象としています。

警告

複数の namespace での要求の許可は、namespace 間の信頼のあるクラスターに対してのみ有効にする必要があります。有効にしないと、悪意のあるユーザーがホスト名を乗っ取る可能性があります。このため、デフォルトの受付ポリシーは複数の namespace 間でのホスト名の要求を許可しません。

前提条件

  • クラスター管理者の権限。

手順

  • 以下のコマンドを使用して、ingresscontroller リソース変数の .spec.routeAdmission フィールドを編集します。

    $ oc -n openshift-ingress-operator patch ingresscontroller/default --patch '{"spec":{"routeAdmission":{"namespaceOwnership":"InterNamespaceAllowed"}}}' --type=merge

    イメージコントローラー設定例

    spec:
      routeAdmission:
        namespaceOwnership: InterNamespaceAllowed
    ...

15.1.9. Ingress オブジェクトを使用したルートの作成

一部のエコシステムコンポーネントには Ingress リソースとの統合機能がありますが、ルートリソースとは統合しません。これに対応するために、OpenShift Container Platform は Ingress オブジェクトの作成時に管理されるルートオブジェクトを自動的に作成します。これらのルートオブジェクトは、対応する Ingress オブジェクトが削除されると削除されます。

手順

  1. OpenShift Container Platform コンソールで Ingress オブジェクトを定義するか、または oc create コマンドを実行します。

    Ingress の YAML 定義

    apiVersion: networking.k8s.io/v1
    kind: Ingress
    metadata:
      name: frontend
      annotations:
        route.openshift.io/termination: "reencrypt" 1
    spec:
      rules:
      - host: www.example.com
        http:
          paths:
          - backend:
              service:
                name: frontend
                port:
                  number: 443
            path: /
            pathType: Prefix
      tls:
      - hosts:
        - www.example.com
        secretName: example-com-tls-certificate

    1
    route.openshift.io/termination アノテーションは、Routespec.tls.termination フィールドを設定するために使用できます。Ingress にはこのフィールドがありません。許可される値は edgepassthrough、および reencrypt です。その他のすべての値は警告なしに無視されます。アノテーション値が設定されていない場合は、edge がデフォルトルートになります。デフォルトのエッジルートを実装するには、TLS 証明書の詳細をテンプレートファイルで定義する必要があります。
    1. route.openshift.io/termination アノテーションで passthrough の値を指定する場合は、仕様で path'' に設定し、pathTypeImplementationSpecific に設定します。

        spec:
          rules:
          - host: www.example.com
            http:
              paths:
              - path: ''
                pathType: ImplementationSpecific
                backend:
                  service:
                    name: frontend
                    port:
                      number: 443
    $ oc apply -f ingress.yaml
  2. ルートを一覧表示します。

    $ oc get routes

    結果には、frontend- で始まる名前の自動生成ルートが含まれます。

    NAME             HOST/PORT         PATH    SERVICES    PORT    TERMINATION          WILDCARD
    frontend-gnztq   www.example.com           frontend    443     reencrypt/Redirect   None

    このルートを検査すると、以下のようになります。

    自動生成されるルートの YAML 定義

    apiVersion: route.openshift.io/v1
    kind: Route
    metadata:
      name: frontend-gnztq
      ownerReferences:
      - apiVersion: networking.k8s.io/v1
        controller: true
        kind: Ingress
        name: frontend
        uid: 4e6c59cc-704d-4f44-b390-617d879033b6
    spec:
      host: www.example.com
      path: /
      port:
        targetPort: https
      tls:
        certificate: |
          -----BEGIN CERTIFICATE-----
          [...]
          -----END CERTIFICATE-----
        insecureEdgeTerminationPolicy: Redirect
        key: |
          -----BEGIN RSA PRIVATE KEY-----
          [...]
          -----END RSA PRIVATE KEY-----
        termination: reencrypt
      to:
        kind: Service
        name: frontend

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