5.2.7. カーネル引数のノードへの追加


特殊なケースとして、クラスターのノードセットにカーネル引数を追加する必要がある場合があります。これは十分に注意して実行する必要があり、設定する引数による影響を十分に理解している必要があります。

警告

カーネル引数を正しく使用しないと、システムが起動不可能になる可能性があります。

設定可能なカーネル引数の例には、以下が含まれます。

  • enforcing=0: SELinux (Security Enhanced Linux) を Permissive モードで実行するように設定します。Permissive モードでは、システムは、SELinux が読み込んだセキュリティーポリシーを実行しているかのように動作します。これには、オブジェクトのラベル付けや、アクセスを拒否したエントリーをログに出力するなどの動作が含まれますが、いずれの操作も拒否される訳ではありません。Permissive モードは、実稼働システムでの使用はサポートされませんが、デバッグには役に立ちます。
  • nosmt: カーネルの対称マルチスレッド (SMT) を無効にします。マルチスレッドは、各 CPU の複数の論理スレッドを許可します。潜在的なクロススレッド攻撃に関連するリスクを減らすために、マルチテナント環境での nosmt の使用を検討できます。SMT を無効にすることは、基本的にパフォーマンスよりもセキュリティーを重視する選択をしていることになります。

カーネル引数の一覧と説明については、Kernel.org カーネルパラメーター を参照してください。

次の手順では、以下を特定する MachineConfig オブジェクトを作成します。

  • カーネル引数を追加する一連のマシン。この場合、ワーカーロールを持つマシン。
  • 既存のカーネル引数の最後に追加されるカーネル引数。
  • マシン設定の一覧で変更が適用される場所を示すラベル。

前提条件

  • 作業用の OpenShift Container Platform クラスターに対する管理者権限が必要です。

手順

  1. OpenShift Container Platform クラスターの既存の MachineConfig を一覧表示し、マシン設定にラベルを付ける方法を判別します。

    $ oc get MachineConfig

    出力例

     NAME                                               GENERATEDBYCONTROLLER                      IGNITIONVERSION   AGE
     00-master                                          5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     00-worker                                          5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-master-container-runtime                        5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-master-kubelet                                  5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-worker-container-runtime                        5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-worker-kubelet                                  5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     99-master-generated-registries                     5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     99-master-ssh                                                                                 3.1.0             77m
     99-worker-generated-registries                     5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     99-worker-ssh                                                                                 3.1.0             77m
     rendered-master-0f314bb55448c47e6776e16e608c5912   5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             42m
     rendered-master-c7761e6162e6c9538b0cdd7eef567d38   5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m

  2. カーネル引数を識別する MachineConfig オブジェクトファイルを作成します (例: 05-worker-kernelarg-selinuxpermissive.yaml)。

    apiVersion: machineconfiguration.openshift.io/v1
    kind: MachineConfig
    metadata:
      labels:
        machineconfiguration.openshift.io/role: worker1
      name: 05-worker-kernelarg-selinuxpermissive2
    spec:
      config:
        ignition:
          version: 3.1.0
      kernelArguments:
        - enforcing=03
    1
    新しいカーネル引数をワーカーノードのみに適用します。
    2
    マシン設定 (05) 内の適切な場所を特定するための名前が指定されます (SELinux permissive モードを設定するためにカーネル引数を追加します)。
    3
    正確なカーネル引数を enforcing=0 として特定します。
  3. 新規のマシン設定を作成します。

    $ oc create -f 05-worker-kernelarg-selinuxpermissive.yaml
  4. マシン設定で新規の追加内容を確認します。

    $ oc get MachineConfig

    出力例

     NAME                                               GENERATEDBYCONTROLLER                      IGNITIONVERSION   AGE
     00-master                                          5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     00-worker                                          5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-master-container-runtime                        5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-master-kubelet                                  5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-worker-container-runtime                        5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     01-worker-kubelet                                  5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
    
     05-worker-kernelarg-selinuxpermissive                                                         3.1.0             105s
    
     99-master-generated-registries                     5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     99-master-ssh                                                                                 3.1.0             77m
     99-worker-generated-registries                     5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m
     99-worker-ssh                                                                                 3.1.0             77m
     rendered-master-0f314bb55448c47e6776e16e608c5912   5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             42m
     rendered-master-c7761e6162e6c9538b0cdd7eef567d38   5ce9351ceb24e721e28cd82de3a44fc7cc27137c   3.1.0             65m

  5. ノードを確認します。

    $ oc get nodes

    出力例

    NAME                           STATUS                     ROLES    AGE   VERSION
    ip-10-0-136-161.ec2.internal   Ready                      worker   28m   v1.19.0
    ip-10-0-136-243.ec2.internal   Ready                      master   34m   v1.19.0
    ip-10-0-141-105.ec2.internal   Ready,SchedulingDisabled   worker   28m   v1.19.0
    ip-10-0-142-249.ec2.internal   Ready                      master   34m   v1.19.0
    ip-10-0-153-11.ec2.internal    Ready                      worker   28m   v1.19.0
    ip-10-0-153-150.ec2.internal   Ready                      master   34m   v1.19.0

    変更が適用されているため、各ワーカーノードのスケジューリングが無効にされていることを確認できます。

  6. ワーカーノードのいずれかに移動し、カーネルコマンドライン引数 (ホストの /proc/cmdline 内) を一覧表示して、カーネル引数が機能することを確認します。

    $ oc debug node/ip-10-0-141-105.ec2.internal

    出力例

    Starting pod/ip-10-0-141-105ec2internal-debug ...
    To use host binaries, run `chroot /host`
    
    sh-4.2# cat /host/proc/cmdline
    BOOT_IMAGE=/ostree/rhcos-... console=tty0 console=ttyS0,115200n8
    rootflags=defaults,prjquota rw root=UUID=fd0... ostree=/ostree/boot.0/rhcos/16...
    coreos.oem.id=qemu coreos.oem.id=ec2 ignition.platform.id=ec2 enforcing=0
    
    sh-4.2# exit

    enforcing=0 引数が他のカーネル引数に追加されていることを確認できるはずです。

Red Hat logoGithubRedditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

© 2024 Red Hat, Inc.