11.3. Pod の追加のネットワークへの割り当て
クラスターユーザーとして、Pod を追加のネットワークに割り当てることができます。
11.3.1. Pod の追加ネットワークへの追加
Pod を追加のネットワークに追加できます。Pod は、デフォルトネットワークで通常のクラスター関連のネットワークトラフィックを継続的に送信します。
Pod が作成されると、追加のネットワークが割り当てられます。ただし、Pod がすでに存在する場合は、追加のネットワークをこれに割り当てることはできません。
Pod が追加ネットワークと同じ namespace にあること。
前提条件
-
OpenShift CLI (
oc
) をインストールしている。 - クラスターにログインする。
手順
アノテーションを
Pod
オブジェクトに追加します。以下のアノテーション形式のいずれかのみを使用できます。カスタマイズせずに追加ネットワークを割り当てるには、以下の形式でアノテーションを追加します。
<network>
を、Pod に関連付ける追加ネットワークの名前に置き換えます。metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: <network>[,<network>,...] 1
- 1
- 複数の追加ネットワークを指定するには、各ネットワークをコンマで区切ります。コンマの間にはスペースを入れないでください。同じ追加ネットワークを複数回指定した場合、Pod は複数のネットワークインターフェイスをそのネットワークに割り当てます。
カスタマイズして追加のネットワークを割り当てるには、以下の形式でアノテーションを追加します。
metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: |- [ { "name": "<network>", 1 "namespace": "<namespace>", 2 "default-route": ["<default-route>"] 3 } ]
Pod を作成するには、以下のコマンドを入力します。
<name>
を Pod の名前に置き換えます。$ oc create -f <name>.yaml
オプション: アノテーションが
Pod
CR に存在することを確認するには、<name>
を Pod の名前に置き換えて、以下のコマンドを入力します。$ oc get pod <name> -o yaml
以下の例では、
example-pod
Pod が追加ネットワークのnet1
に割り当てられています。$ oc get pod example-pod -o yaml apiVersion: v1 kind: Pod metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: macvlan-bridge k8s.v1.cni.cncf.io/networks-status: |- 1 [{ "name": "openshift-sdn", "interface": "eth0", "ips": [ "10.128.2.14" ], "default": true, "dns": {} },{ "name": "macvlan-bridge", "interface": "net1", "ips": [ "20.2.2.100" ], "mac": "22:2f:60:a5:f8:00", "dns": {} }] name: example-pod namespace: default spec: ... status: ...
- 1
k8s.v1.cni.cncf.io/networks-status
パラメーターは、オブジェクトの JSON 配列です。各オブジェクトは、Pod に割り当てられる追加のネットワークのステータスについて説明します。アノテーションの値はプレーンテキストの値として保存されます。
11.3.1.1. Pod 固有のアドレスおよびルーティングオプションの指定
Pod を追加のネットワークに割り当てる場合、特定の Pod でそのネットワークに関するその他のプロパティーを指定する必要がある場合があります。これにより、ルーティングの一部を変更することができ、静的 IP アドレスおよび MAC アドレスを指定できます。これを実行するには、JSON 形式のアノテーションを使用できます。
前提条件
- Pod が追加ネットワークと同じ namespace にあること。
-
OpenShift コマンドラインインターフェイス (
oc
) のインストール。 - クラスターにログインすること。
手順
アドレスおよび/またはルーティングオプションを指定する間に Pod を追加のネットワークに追加するには、以下の手順を実行します。
Pod
リソース定義を編集します。既存のPod
リソースを編集する場合は、以下のコマンドを実行してデフォルトエディターでその定義を編集します。<name>
を、編集するPod
リソースの名前に置き換えます。$ oc edit pod <name>
Pod
リソース定義で、k8s.v1.cni.cncf.io/networks
パラメーターを Pod のmetadata
マッピングに追加します。k8s.v1.cni.cncf.io/networks
は、追加のプロパティーを指定するだけでなく、NetworkAttachmentDefinition
カスタムリソース (CR) 名を参照するオブジェクト一覧の JSON 文字列を受け入れます。metadata: annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[<network>[,<network>,...]]' 1
- 1
<network>
を、以下の例にあるように JSON オブジェクトに置き換えます。一重引用符が必要です。
以下の例では、アノテーションで
default-route
パラメーターを使用して、デフォルトルートを持つネットワーク割り当てを指定します。apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: example-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: ' { "name": "net1" }, { "name": "net2", 1 "default-route": ["192.0.2.1"] 2 }' spec: containers: - name: example-pod command: ["/bin/bash", "-c", "sleep 2000000000000"] image: centos/tools
デフォルトのルートにより、他のルートに指定されていないトラフィックがゲートウェイにルーティングされます。
OpenShift Container Platform のデフォルトのネットワークインターフェイス以外のインターフェイスへのデフォルトのルートを設定すると、Pod 間のトラフィックについて予想されるトラフィックが別のインターフェイスでルーティングされる可能性があります。
Pod のルーティングプロパティーを確認する場合、oc
コマンドを Pod 内で ip
コマンドを実行するために使用できます。
$ oc exec -it <pod_name> -- ip route
また、Pod の k8s.v1.cni.cncf.io/networks-status
を参照して、JSON 形式の一覧のオブジェクトで default-route
キーの有無を確認し、デフォルトルートが割り当てられている追加ネットワークを確認することができます。
Pod に静的 IP アドレスまたは MAC アドレスを設定するには、JSON 形式のアノテーションを使用できます。これには、この機能をとくに許可するネットワークを作成する必要があります。これは、CNO の rawCNIConfig で指定できます。
以下のコマンドを実行して CNO CR を編集します。
$ oc edit networks.operator.openshift.io cluster
以下の YAML は、CNO の設定パラメーターについて説明しています。
Cluster Network Operator YAML の設定
name: <name> 1 namespace: <namespace> 2 rawCNIConfig: '{ 3 ... }' type: Raw
以下のオブジェクトは、macvlan CNI プラグインを使用して静的 MAC アドレスと IP アドレスを使用するための設定パラメーターについて説明しています。
静的 IP および MAC アドレスを使用した macvlan CNI プラグイン JSON 設定オブジェクト
{ "cniVersion": "0.3.1", "name": "<name>", 1 "plugins": [{ 2 "type": "macvlan", "capabilities": { "ips": true }, 3 "master": "eth0", 4 "mode": "bridge", "ipam": { "type": "static" } }, { "capabilities": { "mac": true }, 5 "type": "tuning" }] }
上記のネットワーク割り当ては、特定の Pod に割り当てられる静的 IP アドレスと MAC アドレスを指定するキーと共に、JSON 形式のアノテーションで参照できます。
以下を使用して Pod を編集します。
$ oc edit pod <name>
静的 IP および MAC アドレスを使用した macvlan CNI プラグイン JSON 設定オブジェクト
apiVersion: v1 kind: Pod metadata: name: example-pod annotations: k8s.v1.cni.cncf.io/networks: '[ { "name": "<name>", 1 "ips": [ "192.0.2.205/24" ], 2 "mac": "CA:FE:C0:FF:EE:00" 3 } ]'
静的 IP アドレスおよび MAC アドレスを同時に使用することはできません。これらは個別に使用することも、一緒に使用することもできます。
追加のネットワークを持つ Pod の IP アドレスと MAC プロパティーを検証するには、oc
コマンドを使用して Pod 内で ip コマンドを実行します。
$ oc exec -it <pod_name> -- ip a