2.4.3. CLI を使用した CPU 使用率向けの Horizontal Pod Autoscaler の作成
既存の Deployment
、DeploymentConfig
、ReplicaSet
、ReplicationController
、または StatefulSet
オブジェクトの水平 Pod オートスケーラー (HPA) を作成して、そのオブジェクトに関連付けられた Pod を自動的にスケーリングし、指定した CPU 使用率を維持できます。
HPA は、すべての Pod で指定された CPU 使用率を維持するために、最小数と最大数の間でレプリカ数を増減します。
CPU 使用率について自動スケーリングを行う際に、oc autoscale
コマンドを使用し、実行する必要のある Pod の最小数および最大数と Pod がターゲットとして設定する必要のある平均 CPU 使用率を指定することができます。最小値を指定しない場合、Pod には OpenShift Container Platform サーバーからのデフォルト値が付与されます。特定の CPU 値について自動スケーリングを行うには、ターゲット CPU および Pod の制限のある HorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。
前提条件
Horizontal Pod Autoscaler を使用するには、クラスターの管理者はクラスターメトリクスを適切に設定している必要があります。メトリクスが設定されているかどうかは、oc describe PodMetrics <pod-name>
コマンドを使用して判断できます。メトリクスが設定されている場合、出力は以下の Usage
の下にある Cpu
と Memory
のように表示されます。
$ oc describe PodMetrics openshift-kube-scheduler-ip-10-0-135-131.ec2.internal
出力例
Name: openshift-kube-scheduler-ip-10-0-135-131.ec2.internal Namespace: openshift-kube-scheduler Labels: <none> Annotations: <none> API Version: metrics.k8s.io/v1beta1 Containers: Name: wait-for-host-port Usage: Memory: 0 Name: scheduler Usage: Cpu: 8m Memory: 45440Ki Kind: PodMetrics Metadata: Creation Timestamp: 2019-05-23T18:47:56Z Self Link: /apis/metrics.k8s.io/v1beta1/namespaces/openshift-kube-scheduler/pods/openshift-kube-scheduler-ip-10-0-135-131.ec2.internal Timestamp: 2019-05-23T18:47:56Z Window: 1m0s Events: <none>
手順
CPU 使用率のための Horizontal Pod Autoscaler を作成するには、以下を実行します。
以下のいずれかを実行します。
CPU 使用率のパーセントに基づいてスケーリングするには、既存のオブジェクトとして
HorizontalPodAutoscaler
オブジェクトを作成します。$ oc autoscale <object_type>/<name> \1 --min <number> \2 --max <number> \3 --cpu-percent=<percent> 4
- 1
- 自動スケーリングするオブジェクトのタイプと名前を指定します。オブジェクトが存在し、
Deployment
、DeploymentConfig
/dc
、ReplicaSet
/rs
、ReplicationController
/rc
、またはStatefulSet
である必要があります。 - 2
- オプションで、スケールダウン時のレプリカの最小数を指定します。
- 3
- スケールアップ時のレプリカの最大数を指定します。
- 4
- 要求された CPU のパーセントで表示された、すべての Pod に対する目標の平均 CPU 使用率を指定します。指定しない場合または負の値の場合、デフォルトの自動スケーリングポリシーが使用されます。
たとえば、次のコマンドが示すように、
image-registry
DeploymentConfig
オブジェクトの自動スケーリング。最初のデプロイメントでは 3 つの Pod が必要です。HPA オブジェクトは最小で 5 まで増加され、Pod 上の CPU 使用率が 75% に達すると、Pod を最大 7 まで増やします。$ oc autoscale dc/image-registry --min=5 --max=7 --cpu-percent=75
特定の CPU 値に合わせてスケーリングするには、既存のオブジェクトに対して次のような YAML ファイルを作成します。
以下のような YAML ファイルを作成します。
apiVersion: autoscaling/v2beta2 1 kind: HorizontalPodAutoscaler metadata: name: cpu-autoscale 2 namespace: default spec: scaleTargetRef: apiVersion: v1 3 kind: ReplicaSet 4 name: example 5 minReplicas: 1 6 maxReplicas: 10 7 metrics: 8 - type: Resource resource: name: cpu 9 target: type: AverageValue 10 averageValue: 500m 11
- 1
autoscaling/v2beta2
API を使用します。- 2
- この Horizontal Pod Autoscaler オブジェクトの名前を指定します。
- 3
- スケーリングするオブジェクトの API バージョンを指定します。
-
ReplicationController
の場合は、v1
を使用します。 -
DeploymentConfig
の場合は、apps.openshift.io/v1
を使用します。 -
Deployment
、ReplicaSet
、Statefulset
オブジェクトの場合は、apps/v1
を使用します。
-
- 4
- オブジェクトのタイプを指定します。オブジェクトは、
Deployment
、DeploymentConfig
/dc
、ReplicaSet
/rs
、ReplicationController
/rc
、またはStatefulSet
である必要があります。 - 5
- スケーリングするオブジェクトの名前を指定します。オブジェクトが存在する必要があります。
- 6
- スケールダウン時のレプリカの最小数を指定します。
- 7
- スケールアップ時のレプリカの最大数を指定します。
- 8
- メモリー使用率に
metrics
パラメーターを使用します。 - 9
- CPU 使用率に
cpu
を指定します。 - 10
AverageValue
に設定します。- 11
- ターゲットに設定された CPU 値で
averageValue
に設定します。
Horizontal Pod Autoscaler を作成します。
$ oc create -f <file-name>.yaml
Horizontal Pod Autoscaler が作成されていることを確認します。
$ oc get hpa cpu-autoscale
出力例
NAME REFERENCE TARGETS MINPODS MAXPODS REPLICAS AGE cpu-autoscale ReplicationController/example 173m/500m 1 10 1 20m