第20章 シークレット


20.1. シークレットの使用

このトピックでは、シークレットの重要なプロパティーについて説明し、開発者がこれらを使用する方法の概要を説明します。

Secret オブジェクトタイプはパスワード、OpenShift Container Platform クライアント設定ファイル、dockercfg ファイル、プライベートソースリポジトリーの認証情報などの機密情報を保持するメカニズムを提供します。シークレットは機密内容を Pod から切り離します。シークレットはボリュームプラグインを使用してコンテナーにマウントすることも、システムが Pod の代わりにシークレットを使用して各種アクションを実行することもできます。

YAML シークレットオブジェクト定義

apiVersion: v1
kind: Secret
metadata:
  name: test-secret
  namespace: my-namespace
type: Opaque 1
data: 2
  username: dmFsdWUtMQ0K 3
  password: dmFsdWUtMg0KDQo=
stringData: 4
  hostname: myapp.mydomain.com 5

1
2
data フィールドのキーに使用可能な形式については、Kubernetes identifiers glossaryDNS_SUBDOMAIN 値のガイドラインに従う必要があります。
3
data マップのキーに関連付けられる値は base64 でエンコーディングされている必要があります。
4
stringData マップのキーに関連付けられた値は単純なテキスト文字列で設定されます。
5
stringData マップのエントリーが base64 に変換され、このエントリーは自動的に data マップに移動します。このフィールドは書き込み専用です。 この値は data フィールドでのみ返されます。
  1. ローカルの .docker/config.json ファイルからシークレットを作成します。

    $ oc create secret generic dockerhub \
        --from-file=.dockerconfigjson=<path/to/.docker/config.json> \
        --type=kubernetes.io/dockerconfigjson

    このコマンドにより、dockerhub という名前のシークレットの JSON 仕様が生成され、オブジェクトが作成されます。

YAML の不透明なシークレットオブジェクトの定義

apiVersion: v1
kind: Secret
metadata:
  name: mysecret
type: Opaque 1
data:
  username: dXNlci1uYW1l
  password: cGFzc3dvcmQ=

1
opaque シークレットを指定します。

Docker 設定の JSON ファイルシークレットオブジェクトの定義

apiVersion: v1
kind: Secret
metadata:
  name: aregistrykey
  namespace: myapps
type: kubernetes.io/dockerconfigjson 1
data:
  .dockerconfigjson:bm5ubm5ubm5ubm5ubm5ubm5ubm5ubmdnZ2dnZ2dnZ2dnZ2dnZ2dnZ2cgYXV0aCBrZXlzCg== 2

1
シークレットが Docker 設定の JSON ファイルを使用することを指定します。
2
Docker 設定 JSON ファイルを base64 でエンコードした出力

20.1.1. シークレットのプロパティー

キーのプロパティーには以下が含まれます。

  • シークレットデータはその定義とは別に参照できます。
  • シークレットデータのボリュームは一時ファイルストレージ機能 (tmpfs) でサポートされ、ノードで保存されることはありません。
  • シークレットデータは namespace 内で共有できます。

20.1.2. シークレットの作成

シークレットに依存する Pod を作成する前に、シークレットを作成する必要があります。

シークレットの作成時に以下を実行します。

  • シークレットデータでシークレットオブジェクトを作成します。
  • Pod のサービスアカウントをシークレットの参照を許可するように更新します。
  • シークレットを環境変数またはファイルとして使用する Pod を作成します (secret ボリュームを使用)。

作成コマンドを使用して JSON または YAML ファイルのシークレットオブジェクトを作成できます。

$ oc create -f <filename>

20.1.3. シークレットの種類

type フィールドの値で、シークレットのキー名と値の構造を指定します。このタイプを使用して、シークレットオブジェクトにユーザー名とキーの配置を実行できます。検証の必要がない場合には、デフォルト設定の opaque タイプを使用してください。

以下のタイプから 1 つ指定して、サーバー側で最小限の検証をトリガーし、シークレットデータに固有のキー名が存在することを確認します。

  • kubernetes.io/service-account-token。サービスアカウントトークンを使用します。
  • kubernetes.io/dockercfg。必須の Docker 認証には .dockercfg ファイルを使用します。
  • kubernetes.io/dockerconfigjson。必須の Docker 認証情報に .docker/config.json ファイル を使用します。
  • kubernetes.io/basic-authBasic 認証 で使用します。
  • kubernetes.io/ssh-authSSH キー認証 で使用します。
  • kubernetes.io/tlsTLS 認証局 で使用します。

検証が必要ない場合には type= Opaque と指定します。これは、シークレットがキー名または値の規則に準拠しないという意味です。opaque シークレットでは、任意の値を含む、体系化されていない key:value ペアも使用できます。

注記

example.com/my-secret-type などの他の任意のタイプを指定できます。これらのタイプはサーバー側では実行されませんが、シークレットの作成者はその種類のキー/値の要件に従うことが意図されていることを示します。

異なるシークレットタイプの例については、シークレットの使用コードサンプル を参照してください。

20.1.4. シークレットの更新

シークレットの値を変更する場合、値 (すでに実行されている Pod で使用される値) は動的に変更されません。シークレットを変更するには、元の Pod を削除してから新規の Pod を作成する必要があります (同じ PodSpec を使用する場合があります)。シークレットをボリュームとしてマウントすると、シークレットが自動的に更新されます。

シークレットの更新は、新規コンテナーイメージのデプロイと同じワークフローで実行されます。kubectl rolling-update コマンドを使用できます。

シークレットの resourceVersion 値は参照時に指定されません。したがって、シークレットが Pod の起動と同じタイミングで更新される場合、Pod に使用されるシークレットのバージョンは定義されません。

注記

現時点で、Pod の作成時に使用されるシークレットオブジェクトのリソースバージョンを確認することはできません。今後はコントローラーが古い resourceVersion を使用して再起動できるよう Pod がこの情報を報告できるようにすることが予定されています。それまでは既存シークレットのデータを更新せずに別の名前で新規のシークレットを作成します。

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