3.2.12. ルーターシャードの使用


ルーターのシャード化 により、NAMESPACE_LABELSROUTE_LABELS を使用してルーターの namespace とルートの絞り込みが実行されます。これにより、複数のルーターデプロイメントでルートのサブセットを分散させることができます。重複しないサブセットを使用することにより、ルートセットのパーティション設定を効果的に行うことができます。または、重複するルートのサブセットを設定する複数のシャードを定義することもできます。

デフォルトで、ルーターはすべての プロジェクト (namespace) からすべてのルートを選択します。シャード化によってラベルがルートまたはルーターの namespace およびラベルセレクターに追加されます。各ルーターシャードは特定のラベルのセットで選択されるルーターを設定するか、または特定のラベルセレクターで選択される namespace に属します。

注記

ルーターサービスアカウントには [cluster reader] パーミッションセットを設定し、他の namespace のラベルにアクセスできるようにする必要があります。

ルーターのシャード化および DNS

外部 DNS サーバーは要求を必要なシャードにルートするために必要となるので、管理者はプロジェクトの各ルーターに個別の DNS エントリーを作成する必要があります。ルーターは不明なルートを別のルーターに転送することはありません。

以下の例を考慮してください。

  • Router A はホスト 192.168.0.5 にあり、*.foo.com のルートを持つ。
  • Router B はホスト 192.168.1.9 にあり、*.example.com のルートを持つ。

各 DNS エントリーは *.foo.com を Router A をホストするノードに解決し、*.example.com を Router B をホストするノードに解決する必要があります。

  • *.foo.com A IN 192.168.0.5
  • *.example.com A IN 192.168.1.9

ルーターのシャード化の例

このセクションでは、namespace およびルートラベルを使用するルーターのシャード化について説明します。

図3.1 namespace ラベルに基づくルーターのシャード化

Router Sharding Based on Namespace Labels
  1. namespace ラベルセレクターでルーターを設定します。

    $ oc set env dc/router NAMESPACE_LABELS="router=r1"
  2. ルーターには namespace にセレクターがあるため、ルーターは一致する namespace のルートのみを処理します。このセレクターが namespace に一致させるようにするには、namespace に適宜ラベルを付けます。

    $ oc label namespace default "router=r1"
  3. ルートをデフォルトの namespace に作成すると、ルートはデフォルトのルーターで利用できるようになります。

    $ oc create -f route1.yaml
  4. 新規プロジェクト (namespace) を作成し、route2 というルートを作成します。

    $ oc new-project p1
    $ oc create -f route2.yaml

    ルートがルーターで利用できないことを確認します。

  5. namespace p1router=r1 のラベルを付けます。

    $ oc label namespace p1 "router=r1"

このラベルを追加すると、ルートはルーターで利用できるようになります。

ルーターのデプロイメント finops-router はルートセレクター NAMESPACE_LABELS="name in (finance, ops)" を使用して実行され、ルーターのデプロイメント dev-router はラベルセレクター NAMESPACE_LABELS="name=dev" を使用して設定されます。

すべてのルートが name=financename=ops、および name=dev というラベルの付けられた namespace にない場合、この設定により、2 つのルーターのデプロイメント間でルートが効果的に分散されます。

上記のシナリオでは、シャード化は重複するセットを持たないパーティション設定の特別なケースとなります。ルートは複数のルーターシャード間で分割されます。

ルート選択の基準によって、ルートの分散方法が決まります。複数のルーターデプロイメントに重複するルートのサブセットを設定することも可能です。

上記の例では finops-routerdev-router のほかに devops-router があり、これはラベルセレクター NAMESPACE_LABELS="name in (dev, ops)" を使用して設定されます。

name=dev または name=ops というラベルが付けられた namespace のルートは 2 つの異なるルーターデプロイメントによって提供されるようになりました。これは、namespace ラベルに基づくルーターのシャード化 の手順で説明されているように、ルートの重複するサブセットを定義するケースです。

また、これによりさらに複雑なルーティングルールを作成し、優先度の高いトラフィックを専用の finops-router に転送し、優先度の低いトラフィックは devops-router に送信できます。

ルートラベルに基づくルーターのシャード化

NAMESPACE_LABELS によって、提供するプロジェクトをフィルターでき、それらのプロジェクトからすべてのルートを選択できますが、ルートはルート自体に関連する他の基準に基づいてパーティション設定する必要がある場合があります。ROUTE_LABELS セレクターを使用すると、ルート自体を細かくフィルターできます。

ルーターデプロイメント prod-router はルートセレクター ROUTE_LABELS="mydeployment=prod" を使用して設定され、ルーターデプロイメント devtest-router はラベルセレクター ROUTE_LABELS="mydeployment in (dev, test)" を使用して設定されます。

この設定は、namespace の種類を問わず、ルートのラベルに基づいて 2 つのルーターデプロイメント間のルートのパーティション設定を行います。

この例では、提供されるルートすべてがラベル "mydeployment=<tag>" でタグ付けされていることを想定しています。

3.2.12.1. ルーターシャードの作成

このセクションでは、ルーターシャードのさらに詳細な例を示します。さまざまなラベルを持つ a — z という 26 のルートがあることを想定してください。

ルートで使用可能なラベル

sla=high       geo=east     hw=modest     dept=finance
sla=medium     geo=west     hw=strong     dept=dev
sla=low                                   dept=ops

これらのラベルは、サービスレベルアグリーメント、地理的な場所、ハードウェア要件、部門などの概念を表しています。ルートは各列のラベルを最大 1 つ持つことができます。ルートによっては他のラベルを持つことことも、ラベルをまったく持たないこともあります。

名前SLAGeo (地理的な場所)HWDept (部門)その他のラベル

a

high

east

modest

finance

type=static

b

 

west

strong

 

type=dynamic

c, d, e

low

 

modest

 

type=static

g — k

medium

 

strong

dev

 

l — s

high

 

modest

ops

 

t — z

 

west

  

type=dynamic

これは oc adm routeroc set env および oc scale がどのように連携してルーターシャードを作成するかを表している便利なスクリプト mkshard です。

#!/bin/bash
# Usage: mkshard ID SELECTION-EXPRESSION
id=$1
sel="$2"
router=router-shard-$id           1
oc adm router $router --replicas=0  2
dc=dc/router-shard-$id            3
oc set env   $dc ROUTE_LABELS="$sel"  4
oc scale $dc --replicas=3         5
1
作成されたルーターは router-shard-<id> という名前を持ちます。
2
ここではスケーリングを指定しません。
3
ルーターのデプロイメント設定。
4
oc set env を使用して選択式を設定します。選択式は環境変数 ROUTE_LABELS の値です。
5
拡張します。

mkshard を複数回実行して、複数のルーターを作成します。

ルーター選択式ルート

router-shard-1

sla=high

a, l — s

router-shard-2

geo=west

b, t — z

router-shard-3

dept=dev

g — k

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